特別活動レポート

このページには考学舎の特別活動のレポート詳細を掲載していきます。
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特別活動レポート一覧

11夏の企画


8月20日にゲスト講義を実施しました。
この日のゲスト講師は、プロ・コーチの神西賢一(じんざい・けんいち)さん。
青崎の大学時代の友人で、現在は個人・団体を問わず、コーチングをされています。
最近よく聞かれるようになった「コーチング」ですが、実際にどのような仕事で、
神西さんはどのような経緯でコーチングの仕事に携わるようになったのでしょうか。
恒例のコミュニケーションゲームも、神西さん主導で実施されました。

目    的: 自分の将来を考える
日    時: 2011年8月20日 9時30分から12時まで
会    場: 考学舎(渋谷区渋谷1-7-5-503)
ゲスト講師: 神西 賢一 さん 
内    容: 前半 コミュニケーションゲーム
後半 神西 賢一 さんより、コーチングについてのお話
受 講 料: 1,000円 (通年で通っている方は毎月の授業料に含まれています)

コミュニケーションゲーム(9:30開始)

ゲスト講義の前に、毎回簡単なコミュニケーションゲームを実施している。
9時15分、生徒集合と同時に、講師・神西さんも登場。ゲスト講義史上最多数(?)の参加者が集まる中、神西さん主導でゲーム開始。普段教室に置かれている机も椅子も全て撤収、空っぽの教室で参加者全員が手をつないで輪になった。そこに登場したのは、フラフープ。

ゲームのルール

参加者全員で手をつないで輪になり、フラフープを1つ、つないでいる手にぶら下げる。つないでいる手を離さずに、全員がフラフープの輪の中をくぐる。全員がくぐれた時点で終了。制限時間は、参加人数×1秒=なんと、たったの12秒。
チャレンジ(計時)は何度してもOKで、話し合い、練習、何をしてもよい。ただし、30分の間に制限時間をクリアすること。

コミュニケーションゲーム風景

「12秒で全員がくぐらなければいけない」というルールに、「何か特別なことがあるのではないか」と考え出した参加者もいれば、「まずはやってみよう」という参加者も。なかなか足並みが揃わない中にも、積極的にクリアしようという姿勢が見られた。
フラフープの中に手足をすばやく通しても頭が引っ掛かって残ってしまう…など、試行錯誤しながらもなかなかクリアできないまま、惜しくも30分が過ぎてしまった。
ここで神西さんより「やっていることは悪くない」「特別なことは何もない」とのアドバイスをいただき、再度チャレンジするも、結局は12秒以内でクリアするには至らず終了。

コミュニケーションゲーム風景

チャレンジ終了後、神西さんより「正解」が発表された。
「これまでチャレンジしていた方法でクリアすることは可能だった。ただ、大きい子から小さい子まで揃っている中で、それぞれに配慮した方法をもう少し考えるべきだった。
そして、正解を探すことに夢中になるあまり、思いついた方法で“まずはやってみよう”という態度になかなか出られなかった。思いついたら、まずやってみれば良いし、すぐにあきらめて違う方法に移ってしまわずに練習を重ねればきっとできたと思う。
そして最後に、みんなの話を聞こうとする態度が少し足りなかったように思う。いいアイディアはたくさん出ていたのに、それを聞いて実行に移そうとしている人が少なかった。きっとこのことは、このゲームだけに言えることではないと思う。」

神西さんのお話・質疑(10:30開始)

後半は神西賢一さんからお話を伺った。

神西賢一さん プロフィール

ゲスト講師

神西さんは、現在は奥様と小学校1年生になる息子さんの3人家族。大学時代はラクロスに没頭し、ラクロスでW杯に出場するほどの選手だった。大学卒業後は最大手の銀行に勤めるが、仕事に魅力を感じられず2年で退職、その後自らトレーニングジムを立ち上げ、現在はコーチングに関わるさまざまな資格を有し、プロ・コーチとして活躍中。現在は登山に情熱を費やしている。

神西さんの話は、講義形式ではなく、質疑応答の形式で進められた。(以下は要約)

『コーチング』の仕事

コーチングの仕事は簡単に言うと、「人生をもっと幸せにしたい」「もっと充実した仕事をしたい」と考えている方々のために、悩み相談や将来のビジョン構想のお手伝いを二人三脚で行っていく仕事。コーチングの内容としては、基本的には一対一での話し合いだが、決して答えを出したりはしない。なぜならその悩みに決まった答えはなく、答えがあるとすればその人の中にあるのだから、自分で答えを導きだせるようサポートしていくのがコーチの役割。神西さんは現在十数名の顧客がおり、会社での研修なども行っている、という。

講義風景

コーチの仕事で大切にしていること、気をつけていることは、コーチングというのは極めてプライベートな内容を扱うため、とにかく秘密厳守。信頼関係が何よりも大切になる。

神西さんは、生徒数名に「将来の夢」について質問した。「パソコンを使った仕事をする」、「プライベートジェットを手に入れる」…などの夢に、「なぜ?」「それはあなたにとってどういうこと?」と質問を重ね、生徒の具体的な夢はそれぞれ「自分の成長を実感したい」「自由になりたい」というような抽象的な願いが中心にある、ということがわかり始めた。コーチングの成果の一端が顕れたようだった。

コーチングの仕事は何か特別なスキルや先天性が必要、というものではない。必要なものをあえて言うならば、「人に悔いなく生きてもらうためにサポートするためには、コーチである自分がその人以上に悔いなく生きている必要がある」という強い思いを有していること。

プロ・コーチになるまでの経緯

講義風景

神西さんが大学卒業後に銀行員になったのは、個人的な「成功のライン」を勝手に思い描き、その中にそのような職業があったから、だった。しかし、実際にはそのようにして見つけた仕事が「つまらない」と感じてしまうものだった。利益は真剣に追求するが、存在意義が不明瞭な仕事…そこに納得がいかず、退職を決断した。その後、「自分にとっての“幸せ”は何か?」「夢中になれることは何か?」と考えるようになり、その結果、大学時代に心の底から熱中した「スポーツ」に関与したい、と考え、大学院にてスポーツ経営学を学び直し、スポーツの場を提供する仕事に就き、その仕事の関連で、プロのアスリートから日々の適度な運動を目的とする方までが集うスポーツジムを設立した。そして「人とのつながり」に更に次の道を見出し、現在のコーチングという仕事に出会うことになった。

現在の仕事は「個人経営」だが、これまで神西さんは「会社員→会社経営→個人経営」と、さまざまな形態で仕事をしてきている。会社員には安定がある反面、会社員ならではの制限と不自由さがあり、会社経営者はいろいろな意味で「責任感」が重い仕事。個人経営は自由が効くものの、安定さには欠ける。ただし、働いた分だけの報いがある、というところにやりがいがあり、充実している。「究極的にはお金がなくても生きていくにはなんとかなる」と神西さん。

「後悔しないような生き方を」

講義風景

神西さんがいつも心がけているのは、「いつ死んでも後悔しないような生き方」ということ。志半ばで道が閉ざされてしまうことがあるかもしれない。しかし、「志の達成」が重要なのではなく、志を達成するまでの道のりを大切にしていれば、十分に満足できる生き方につながるのではないか、と考えている。

自分にとっての願い、幸せは何か?ということを思い描いていくことを、自分の将来を考えるスタートにしてほしい。自分のやってみたいこと、やりたいことは、しっかりと主張し、然るべき人と話し合い、やってみるといいのではないか?と神西さんは生徒に向けて提案した。

講義の最後、「みんな、楽しく生きていってくださいね」との神西さんのメッセージには、これまでの神西さんの生き方そのものが凝縮しているようだった。

アンケート結果

前半のコミュニケーションゲームについて、「楽しかった」「難しかった」という回答が圧倒的に多かった。特に「難しかった」の中には、「既成概念に捉われないことが大切だとわかった」という意見があった。

後半のお話は、質疑応答形式だったこともあり、ほぼ全員が「楽しかった」「よくわかった」と回答、「今の社会に必要な、難しい仕事だと思った」「仕事というよりも生き方そのものを語ってくれた」という意見もあった。

ふりかえり

コミュニケーションゲーム

今回、神西さんに用意していただいたゲームは、「みんなで一つのことをやりとげる」という明確な目的をもったゲームだった。実際に、サマーキャンプを終えたばかりの生徒には活気もあり、積極的にゲームにかかわり、お互い協力しようという気持ちも強く感じられた。しかし、ゲームをクリアすることはできなかった。神西さんが今回成功しなかった原因として「人の話をよく聞かないこと」を挙げられた。一見、コミュニケーションをそれほど要さない、シンプルなゲームの解決のキーポイントが「人の話をよく聞くこと」というコミュニケーションの基本に立ち返ることだったことは非常に興味深い。

神西さんのお話

講義風景

生徒たちは神西さんのお話を聞いて、神西さんの仕事のことよりも、その先にある「生き方」についてそれぞれ思うところがあったのではないか、と思う。「将来~をしたいから、今は…をやらなければいけない」と自ら考え答えを出していくことすら難しい昨今に、さらにその根本の「生きるとは」「自分にとっての幸せとは」ということを考えさせられる話だった。それは何よりも、今回講師を引き受けてくださった神西さんが、その生き方を体現されているからこそ、生徒たちにも伝わるものだったのだろう。

11サマーキャンプ

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今年の考学舎サマーキャンプは、参加者延べ12名。今年は高校・大学受験生を考慮し、前半はアクティビティも含めた2泊3日、後半は勉強中心のスケジュールと、大きく二つに分け、フル参加の生徒は7泊8日という期間での協働生活を行った。
場所は避暑地小淵沢の隣の駅、信濃境駅から徒歩15分ほどの山荘、『楽の家』。長い期間、厨房まで含めて利用させていただいた。建物の管理をされている塚田さんにはお礼申し上げる。

期  間 8月8日(月) から 8月15日(月)
参 加 者 生徒12名・スタッフ3名
宿泊先住所 長野県諏訪郡富士見町落合烏帽子3755-5 楽の家
食材提供 株式会社 山崎料理研究所
起   床 6時
消   灯 21時(中高生は夜の学習終了後)

以上

実施場所について

サマーキャンプの実施場所である「楽の家」は、岡谷にて製糸業(養蚕)を営む商屋として利用されていた旧家を移築したものです。築100年以上の本格的な木造の建築物をご好意でお借りしています。

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2010サマーキャンプの主なスケジュール

6:00 12:00 18:00 21:00

8月8日

    生徒到着 バーベキュー・入浴 夕食 勉強
 9日 起床・朝食 滝めぐり・川遊び・入浴 夕食 ナイトハイク・花火
 10日 起床・朝食 勉強 昼食 勉強 入浴 夕食 勉強
 11日 起床・朝食 勉強 昼食 勉強 入浴 夕食 勉強
 12日 起床・朝食 勉強 昼食 勉強 入浴 夕食 勉強
 13日 起床・朝食 勉強 昼食 勉強 入浴 夕食 勉強
 14日 起床・朝食 勉強 昼食 勉強 入浴 夕食 勉強
 15日 起床・朝食 勉強 昼食 片付け 解散・帰宅   

実施内容

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都内ではちょうど猛暑が始まった8月半ば、延べ12名の参加者が富士見町「楽の家」に集った。「今年の夏はこっち(富士見町)も暑いよ」とは「楽の家」を管理されている塚田さんの感想。しかしエアコンも扇風機も必要ないほどの涼しさで、節電対策に明け暮れる東京から来た者にとっては、新宿からたったの2時間で到着する距離にあるとは思えない快適な環境に驚きすら覚えた。

7泊8日のうち、前半の3日間は活動がメイン(少し勉強)の「アクティブ・キャンプ」、後半の5日間は受験生中心の勉強がメインの「スタディ・キャンプ」というスタイルで行った。前半はサマーキャンプ初参加の生徒が多く、また幅広い年代が揃ったため、出来ることに偏りが生じた一方で、年上が年下の面倒をみる、また年下が年上を手伝う、という場面が多く見られた。

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後半は比較的長く考学舎に通っている生徒が多く、またそれぞれ忙しいスケジュールを縫っての参加だったため参加者の入れ替わりが多かったにもかかわらず、1日9時間にも及ぶ学習時間をそれぞれのペースで集中して過ごすことができた。

今年のキャンプをひと言で表すならば「受験生のための勉強合宿」ではあったが、特に前半の2泊3日はひとりひとりの自主性と協調性のおかげで、ここ数年で最もまとまりのあるキャンプとなった。また後半はもちろん、前半でも一日のスケジュールの締め括りが「学習」だったことは、興奮した頭をクールダウンして次の朝を爽やかに迎えられるきっかけとなった。

食事

  朝食 昼食 夕食
8日   BBQ(全員) ご飯・大根のみそ汁・豚肉しょうが焼き・野菜炒め(T.M)
9日 ご飯・わかめと豆腐のみそ汁・目玉焼き・きゅうりの浅漬け(S.K) 山でおにぎり(全員) 麻婆丼・ほうれん草の胡麻和え・ヨーグルト(J.S)
10日 牛丼・牛乳・浅漬け・桃・ツナサラダ(K.M) 手打ちうどん(R.S) ひやむぎ・さんまの味噌漬け(M.H)
11日 トースト・ハムエッグ・ヨーグルト・牛乳(D.M) 焼きそば・きゅうり・スイカ(T.M) しゃけご飯・照り焼きチキン・野菜のカレー炒め・リンゴのヨーグルト和え(C.I)
12日 チョコクロワッサン・ウィンナー・スクランブルドエッグ・ポテトのバター炒め(K.T) ハヤシライス・ズッキーニソテー・梨(S.S) オムライス・きゅうりスティック・コーンスープ・ゼリー(K.M)
13日 ご飯・納豆・なめこ汁・冷奴・桃(K.M) チャーハン・わかめスープ・ゼリー(H.K) カレーライス・サラダ(D.M)
14日 おまかせパン・スクランブルドエッグ・ハム(M.H) 牛丼・すまし汁・きゅうりの塩もみ(S.S) ご飯・餃子・もやし炒め・アイスクリームonゼリー(K.M)
15日 ホットドッグ・レーズンパン・ゼリー (K.M) 冷やし中華・ゼリー (H.K)  

( )内はシェフおよびスタッフのイニシャル

サマーキャンプのメインイベントの一つでもある「食事」。生徒の入れ替わりが多かったこともあり、食事ごとにシェフ1名、サポート数名を選出、メニューの考案・買出し・調理・盛り付け・後片付けを行った。キャンプ初参加の生徒にとっては10名前後の食事を一度に作るのは難しいのでは…と案じられたが、それぞれ卒なくこなしていた。前半はおかずに、後半はデザートに、それぞれこだわっていたのが特徴的だった。

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毎年、食事の際の気がかりは「好き嫌い」と「食べ残し」。1食ごとにシェフが入れ替わる都合上、その日に購入した食材は皆なるべく使い切ろうとするあまり、人数分よりも若干多めに出来上がることもある。そんなときに「選り好み」をし始めると、これを食べ切るためには誰かが無理をすることになる。今年のキャンプ、特に前半はこの例年発生する問題に、全員で取り組めたのではないかと思う。汁物が残っていれば、それぞれ声を掛け合っておかわりをする。苦手なものが出されて困っていると、隣に座った生徒が少し手伝いながら励ます。講師から声をかけるでもなく、生徒同士が自主的にコミュニケーションの中で解決していくことができたのは素晴らしいことだった。

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また、「シェフ以外、誰も手伝わない」「担当になっていなければ厨房にも入らない」というのが毎年の傾向であり課題でもあるが、今年のキャンプ、特に後半は、担当になっていなくても、自然に全員が厨房に集まり、和気あいあいとした雰囲気の中で楽しく調理や後片付けが進められていった。勉強している時間以外は入浴しているか寝ているかのどちらか、という極端なスケジュールにあって、食事の時間が唯一の「娯楽」という現実。この娯楽の時間を大切にしようとそれぞれが心がけた結果だったのであろう。

勉強

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今年は例年以上に受験生が多く、このサマーキャンプも例外なく「勉強合宿」になることは、講師・生徒とも覚悟していたのは言うまでもない。前半の「アクティブ・キャンプ」では就寝前に1コマ、3日目に2コマの学習と、ソフトな学習スケジュールだったのに対し、受験生ばかりとなった後半の「スタディ・キャンプ」では、午前中3コマ、午後3コマ、就寝前3コマの学習時間が設けられ、衣食住の生活にかける時間以外は全て学習に充てられた。それぞれ自習時間と授業時間が明確に分けられ、自習に充てられている時間をいかに過ごすか、がその後の授業の充実度を左右した。

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一人ひとりの夏休みの前までの学習態度がここで大いに影響した。普段から自宅学習も含め時間をかけて学習できていた生徒は9時間を難なく乗り切っていたが、学校で授業を受けるのがやっとの生徒は9時間同じ場所に座っているのがやっとだった。ただし、この生活を数日繰り返すうちに、しっかり集中して9時間を過ごすことができるようになっていった。普段の生活の中に如何にいいリズムで学習を取り込んでいけるか、がとても大切なことなのだと改めて確認できた。

午後の活動

清里中央オートキャンプ場でバーベキュー(1日目)

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ここ数年のサマーキャンプでは恒例となった「ウェルカム・バーベキュー」。今年は場所を替え、比較的設備の整ったキャンプ場にて実施した。

講師は食材と道具のみ提供し、あとは最初の工程から全て生徒任せなのは毎回恒例。下級生は食材の下拵えを、上級生はバーベキューコンロで火起こしを担当した。しかし、これがなかなか着火しない。どうやら皆、初心者らしい。昼食時間を過ぎた頃にようやく野菜が焼ける程度の温度になり、遅めの昼食にありつけた。「炎は下から上に…」など、いろいろと理屈をこねてみるものの、そうはうまくいかない。やはり経験に勝るものはない。

途中、にわか雨に遭うなどのトラブルもあったが、皆が意気投合して一つのことに取り組み、また楽しく食事もできたことで、キャンプ初日の緊張した空気もあっという間にほぐされた。

尾白川渓谷散策―滝巡り― ~ 川遊び(2日目)

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キャンプ前半のメインイベント、滝巡り。以前より講師の間で狙っていたコースではあったが、体力をかなり消耗するコースでもあったため、ここ数年、敬遠していた。しかし、年齢層も高くなってきており、ベテランキャンパーにも新しいコースを体験させたい、との思いから、決行することになった。

駒ケ岳神社までは車で移動し、渓谷沿いを歩きながら千ヶ淵→旭滝→神蛇滝→不動滝を順番に巡った。登山のようにピークを目指すわけではないため、どのような行程なのか予想がつかない上、アップダウンが激しく坂を上るたびに体力を大いに奪われたが、最後の不動滝に到着すると、誰もがこれまで見たこともないような滝の絶景に圧倒され、疲れは空腹と共に吹き飛んだ。

スタート地点に戻り、キャンプ恒例の川遊びでは、着替えの用意がないにもかかわらず全身ずぶ濡れになるまで戯れた。もちろん講師も。「日頃のお礼に」とばかりに講師を川に沈める生徒達。キャンパーの団結力は、このとき最高潮に達した。

ナイトハイク・花火(2日目)

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初日の夜が雨天だったということもあり、夜のイベントは2日目に盛大に行われた。灯かり一つ存在しない草原周囲1キロほどの道のりを、二人ずつのチームに分かれ周回した。お約束となった「女性講師を驚かす」ミッションも達成され、その後の花火も大いに盛り上がった。また、天文部で副部長を務めている高校生による「星空解説」と「星座物語」も披露され、「やはり今年のキャンプは何か違う」と思わせるような、“豊かな”夜のイベントだった。

全体を通して

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前述のとおり、今年のキャンプは前半と後半で大きく主旨の異なるものだった。前半と後半両方に参加した生徒が複数いたにもかかわらず、キャンプの雰囲気もまた大きく異なっていた。

前半は、個々人に特に目標を設定させたわけでもなく具体的な目的としては「自活自習」だけだった。その反面、後半は個々人には「受験勉強」という具体的な目的があり、それぞれの学習にできるだけ目標を持ちながら学習に取り組んだ。その結果かどうか、前半は、個人に目的が向けられていない分、「皆で何かを成し遂げる」という雰囲気に満ち溢れ、その一方で後半は、個々人の目標達成のためにがんばる、という雰囲気があった。いずれにしても、普段の個別指導形態では困難な、キャンプならではの良さがよく出ていたのではないかと思う。

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受験生はそれぞれのペースを守りながら、よく学習していた。そして、それぞれがその閉鎖的な空間での生活を楽しむこともできていた。受験勉強は辛く苦しいもの、という印象があるかもしれないが、彼らの充実感漂う表情からは、そんな苦悩は感じられないのではないかと思う。

参加スタッフの声

2011年も無事に、サマーキャンプを行うことができました。楽の家管理人、塚田さんをはじめ、保護者・生徒・参加スタッフ・留守を守ってくれたスタッフ、皆さんに感謝いたします。

本編でもふれられていましたが、今年は、今までのキャンプの中でも、ことさらに考学舎らしいキャンプになったと思います。うまくいかなかったところもたくさんありましたが、生徒たちが試行錯誤しながら動いていく姿もまた、考学舎らしいものでした。決まっていないことに、どう対処するのかを、生徒たちが自ら考え、スタッフが口を出す前に自分たちで解決したことも多々ありました。

考学舎は勉強を通し、自ら考え、自律的に行動することを学ぶ場所、です。今年のキャンプはまさに、自律しようとする子供たちの姿をあちらこちらに見かけることができた1週間でした。「特別」ではなく、あるべき「普通」の生活を成り立たせるキャンプ。自律のタネをまけていれば幸いです。(S.S)

「寝食を共にする」「同じ釜の飯を食う」ことで得られるものは大きい。環境は人を変え、人と人との関係を変える。生徒達は生活を共にすることで、自然にチームワークを育てていった。その様子を目の当たりにすることができ、とても嬉しい思いだった。共同生活をすることで、参加者同士が仲間となり、その仲間との絆が生まれるのだろう。

今回はキャンプ初参加の生徒も多く、また共同生活に慣れていない様子だったので、どうなることやらという不安もあったのだがその分、生徒達の絆が深まっていく様子にとても頼もしい思いを強くした。また、そんな場で設定された目的は、達成に高い成果が得られやすいということを実感した。キャンプ中の主な目的、「自活自習」と「受験勉強」は、キャンプ中において達成できたと思う。環境は人を変え、チームを形成する、ということがこのキャンプで証明できたのではないか。

だが、今回のキャンプはそれぞれの生活習慣、学習習慣にとっては、あくまで「きっかけ」にすぎない。このキャンプで感じた達成感を財産として普段の生活、学習で「やればできる」を実践していってほしいと思う。

私はキャンプ前半に今回もまた、子連れで参加させて頂いた。1歳で初キャンプを経験している9歳の息子は、良くも悪くもムードメーカーになる場面が多い。私と一緒にいることで、家庭との切替が出来ず戸惑いを見せる息子に対し、周囲も戸惑いながらも、同じ仲間として生活を共にしている姿はとても有難く感じた。(F.A)

考学舎で講師になる直前まで山梨県で暮らしていた私にとって、一年に一度、自然豊かな環境で暮らせるこのサマーキャンプは「里帰り」のようなものです。都会の水を飲むようになって早3年、山や畑に囲まれたこの富士見の地がまるで自分のふるさとのようになってきました。

「楽の家」は、それは立派な日本家屋です。襖を全て開放すれば大広間になり、縁側から見える景色は山ばかり。夜になり消灯すると、自分の手元も見えないほど真っ暗になります。そして、猛暑とも節電とも無縁の快適な生活環境は、あらゆることをシンプルに考えさせてくれます。

無線機を持ち出して交信を試みてみたり、広い庭でキャッチボールをしたり、夜空の星を数えてみたり。生徒たちは、日常からかけ離れた生活に戸惑うこともなく、むしろこの「不便な環境」を楽しんでいるようでした。多少のストレスを感じながら、ではあるのでしょうが。

帰宅の時が近づくにつれ、「テレビ(ゲーム)が恋しい」「ジュース飲みたい」という声も聞こえましたが、自然の中で過ごした貴重な時間を、ときどきは思い出して欲しいと思います。富士見を「ふるさと」と感じるほどに…とは言いませんが。
(H.K)

10冬の企画


12月18日にゲスト講義を実施しました。
この日のゲスト講師は、出版社を長年経営されている高澤卲(たかさわ・たかし)さん。
考学舎に通う生徒の「出版関係の仕事をしている方のお話が聞きたい!」
という以前からの希望が叶いました。
文学書出版に40年以上携わっているという高澤さんのお話は、
その半分も生きていない生徒たちの心にどう届くでしょうか。
お話の前にはコミュニケーションゲームを実施しました。

目    的: 自分の将来を考える
日    時: 2010年12月18日 10時から12時まで
会    場: 考学舎(渋谷区渋谷1-7-5-503)
ゲスト講師: 高澤 卲 さん 
内    容: 前半 コミュニケーションゲーム
後半 高澤 卲 さんより、書籍の出版についてのお話
受 講 料: 1,000円 (通年で通っている方は毎月の授業料に含まれています)

コミュニケーションゲーム(9:50開始)

ゲスト講義の前に、毎回簡単なコミュニケーションゲームを実施している。今回はゲスト講義始まって以来の大所帯で、中には「初対面」という生徒もいたため、相手のことを知るためのほぐしゲームと、グループで行うゲームを実施した。

 「バースデーリング」

ゲームタイトルのとおり、誕生日順に参加者全員で輪になるゲーム。ただし、「声を発してはいけない」というルールと、「生年月日=生まれた順で並ぶ」という条件で実施。並んだ時点で順番に自己紹介を行い、作った輪が果たして正しいのかどうかをチェックする。

「ぐるっとストーリー」

参加者を3人4チームに分ける。年代が均等に分かれるように、「バースデーリング」の並び順を活用してチーム分けを行った。全員が原稿用紙を用意し、自由作文で「起」を作成する(7分)。書き終えたらチーム内で順次原稿用紙を回し、「起」に合わせて「承」「転」をそれぞれ作成する(各7分)。「起」を作成した自分の作文が「転」まで書かれて自分に戻り、最後に「結」を書き添え、参加人数分の「短編小説」が完成(8分)。完成した物語の面白さ、文のつながり、表現力の3点で評価する。

ぐるっとストーリー風景

小学4年生から高校3年生、卒業生まで、幅広い生徒が集まる中、世代を超えて和気あいあいとした雰囲気でゲスト講義はスタートした。

「バースデーリング」は通常それほど時間のかからないゲームだが、今回は想定以上に時間がかかった。お互いの学年さえ確認してしまえばいいところを、自分の誕生日がいつなのかを相手に示すばかりで、相手が何歳なのかを気にする者が少なかった。その結果、時間がかかった上に、何箇所かで間違いが発生してしまっていた。

「ぐるっとストーリー」では一人ひとりが真剣に取り組んだおかげでなかなか面白い物語が12編できあがった。各チームから1編を選び、皆の前で発表した。「あれ?話のつながりなんかおかしくない?」など疑問を呈しながらも、それぞれの物語の内容に感心しながら発表を楽しんだ。

高澤さんのお話・質疑(11:15開始)

後半は高澤卲さんからお話を伺った。

高澤卲さん プロフィール

高澤さんは、坂本が幼い頃よりお世話になっていた知人。文京書房という出版社を長く経営されている。詩人であり哲学者である串田孫一氏と共に数多くの文学書を出版されてきた。また、「子ども会」を開催し、本や漢字、勉学の大切さを子ども達に伝えてきた経験があり、考学舎の生徒たちを惹きつける話が展開された。

『本』について

「本」は2通りに分類される。一方は情報・知識を集中的に教えるもの、もう一方は文学書や絵本、詩にあたるもの。

この文学書や絵本、詩集などが、ある時代を境に急激に売れなくなり、情報誌が売れるようになった。これは、例えば同じ雑誌でも、「書評」のようなものを書いている雑誌よりも、「この映画はどこで見られるのか」などの「情報」が集まる雑誌にニーズが高まったことを表している。

「誰かの難しい話を聞いたところで豊かにはならない」というのが一般的な風潮になり、文学系の本を出版する出版社はもはや商売にならなくなっている時代になった、と高澤さん。

出版社について

高澤さん

出版社にも、大手出版社があれば小さな出版社がある。実際に書店に並ぶ本の90パーセント以上は、数千ある出版社のうちのほんの一握りの大手出版社が出版している本であり、高澤さんの経営する出版社は後者である。

小さな出版社は世間への影響は大手出版社ほど大きくないが、その反面、本を出版する人が出したいものだけを出版できる。そのため、いい人に出会うことができるし、「本物」に出会える。それが何よりも大きな魅力だ、と高澤さんは話された。

また、編集・製作から装丁までの工程を、大手であれば分業になってしまうところを、一人、または少人数で行うことができ、出来上がった本を最初に手にできるのが自分だということも魅力の一つだと話された。

読者にとっては出版社が大きいか小さいかということは関係ない。小さな出版社でも、書評に載ったり記事に取り上げられるような良質な本を出版することはできるから、もし出版という仕事に興味を持つなら、クリエイティヴなものを追求してほしい。儲かりはしないが、いい人、いい物に出会え、自分の納得のいく仕事ができる、贅沢な仕事だ、と薦められた。

「子ども会」で培った経験から

高澤さんが運営してきた「子ども会」での経験から、勉強の大切さについて話された。まず、「漢字の勉強をしっかりしてほしい」。漢字の知識は世の中に出て間違いなく使える知識であり、アルファベットなどの文字よりもはるかに頭を使う文字だからだ。また、「古典を読もう」。現代の情報交換というのは、自分の悩みを一緒に分かち合うものが多い中、古典を学ぶということは、過去の悩みや知恵を知ることができ、「過去に友達を作る」ことになる。そして、「音読をしよう」。優れた作家の文章は、音読してみると非常に読みやすいものになっている。そのような優れた文章を知ることも大切だ。

そして最後に、若い間は遊ぶことも重要だと思う。だからこそ、楽しく遊ぶ、そのために、勉強するものだ、と思って勉強してほしい、と教えられた。

質疑応答

聴講していた生徒からは、話を聞いて興味深かった点についての質問が多く出された。

―電子書籍についてはどう思う?
「電子書籍は情報を伝えるものであって、考えや思想を伝えるツールには向かない。講義風景「本」は、自分の考えを足す(傍線を引く、書き込むなど)ことができる。電子書籍は書き込み等ができない、という意味で「本」として扱うには難しい。このようなものが流行するというのはもはや壊滅的な状況といえるのではないか。」

―編集者として、著者と対立することはなかったか?
「編集者として働き始めたまだ若かりし頃、串田先生の文に訂正を促したことがある。人によっては怒られる場面だったかもしれないが、串田先生には逆に信頼され、現在に至っている。このようなことが伝わる人の本しか出してきていない。」

―『本物に出会える』とは?
「いばらない人、自分を自分以上に見せない人、ものをしっかり考えている人に出会ったとき、またはそういう人の作品に触れたとき、「本物に出会えた」と思える。」

―高澤さんの出版する本を、どういう人に読んでほしい?
「心優しく、強くなりたい、そのような志をもつ人に読んでもらいたい。」

アンケート結果

高澤さんの話については、「わかりやすかった」「楽しかった」という声がとても多く、出版界で働いていくことの難しさがよく伝わったようだった。また、前半のコミュニケーションゲームは、「話をつなげるのが難しかった」と答える生徒が大半だったが、それがこの企画の楽しさを引き立てたようだった。

ふりかえり

コミュニケーションゲーム

作文風景「バースデーリング」はことばを使わずにいかにコミュニケーションを正しく行えるか、を試すのに適当なゲームだが、実際にやってみると、自分のメッセージを相手に伝えることを考えてばかりだったり、自分の思い込みで並び順を決めてしまったりと、相手からのメッセージを適切に受け止めずに並んでしまった。その結果、間違いが発生していたようだ。コミュニケーションおいては傾聴・受容がいかに大切であるか、ということを確認することができた。

「ぐるっとストーリー」は全員が初体験だったにもかかわらず、それぞれが趣意をしっかり理解して真剣に取り組むことができたため、それぞれの完成作品をとても楽しく味わうことができた。あちこちで「あれ~こんな展開のはずじゃ…」という声が聞こえてきたことに、何かを学べる余地があった。その後の展開を見据えた冒頭を考えられた生徒の作品はやはり安心して読むことができた。

高澤さんのお話

生徒のアンケートに「わかりやすかった」「楽しかった」というコメントが多かったことが示すとおり、「本」「出版」の話をプロットにして、小学生でもわかりやすい言葉づかいで漢字の由来から坂本の幼少の頃の話まで、非常に幅広く話題を提供してくださり、生徒達は「本にはあるべき姿がある」「出版業界を守っていくことも大切なこと」ということをよく理解したようだった。出版業界でしっかりと思いを持って働いていく大変さを知ることができたが、同時に、自分のやりたいことを仕事にしていくためには強い信念や思いが必要なのだ、ということもよく理解できたと思う。

10夏の企画

8月21日にゲスト講義を実施しました。
この日のゲスト講師は、感染症研究員の大角晃弘さん。
フィリピンを中心に世界を飛び回り結核等感染症予防の研究・対策支援をしていらっしゃいます。
生徒にとっては他人事のように感じられているかもしれない感染症の話が、
生徒たちにはどのように映るでしょうか。
お話の前にはコミュニケーションゲームを実施しました。

目   的: 自分の将来を考える
日   時: 2010年8月21日 9時から11時まで
会   場: 考学舎(渋谷区渋谷1-7-5-503)
ゲスト講師: 大角 晃弘さん
内   容: 前半 コミュニケーションゲーム
後半 大角 晃弘さんより、感染症についてのお話についてのお話・質疑など
受 講 料: 1,000円 (通年で通っている方は毎月の授業料に含まれています)

以上

コミュニケーションゲーム (9:00開始)

ゲスト講義の前に、毎回簡単なコミュニケーションゲームを実施している。今回は参加者が小学校1年生から高校2年生と幅広いため、誰でも親しみやすいほぐしゲームと、グループ対抗で行うゲームを実施した。

「いすとりゲーム」

「参加者数-1」の椅子を円形に並べ、音楽が鳴っている間は時計回りに皆で椅子の周りを歩き、音楽が止まったところで最寄の椅子に座り、座れなかった1名には、自己紹介と講師からの質問に応答してもらう。

「図形で伝言ゲーム」

参加者を2チームに分け、伝言ゲームを行う。但し、伝言するのは文章ではなく、図形。
ゲームに使用した図形あらかじめ用意された図形は、「丸、三角、四角、字」のみで形成されている。ジェスチャーなど、口頭以外の手段で伝えることは一切許されず、最後に伝言された者が実際に伝えられたとおりの図形を描き、正解と比較する。
正確さ、伝達のスピード、チームワーク、芸術点(?)をそれぞれ採点・評価する。

考学舎サマーキャンプに参加したメンバーが大半を占めていたため、最初からリラックスしたムードで始まった。
「いすとりゲーム」は誰もが知っているゲーム。朝一番で実施したゲームだったにもかかわらず、全員、真剣に取り組み、予想以上の盛り上がりを見せた。
「図形伝言ゲーム」は、一番難しいと感じるのでは…?と心配されていた小学1年生が、予想以上の大活躍。図形のかたちは伝えられても、大きさや位置を正確に伝えるのは難しく、皆、とても真剣にゲームに取り組んだ。

大角晃弘さんのお話・質疑(10:00開始)

後半は大角晃弘さんからお話を伺った。

大角晃弘さんプロフィール

大角さんは、北海道出身。現在は奥様と3人の子どもの5人家族。
公益財団法人結核予防会結核研究所で、臨床・疫学部の主任研究員の役を担っている。また、フィリピンNGOの所長も兼任している。
結核に関する研究、海外の医師に対する研修、結核対策に関する技術支援が、主な仕事内容。

『結核』について

ゲスト以前、中学生を相手に健康についての講演会をされた経験のある大角さんは、PowerPointを使って、結核とはどのような病気なのか?という問題から講義を始めた。
日本に結核が蔓延したのは過去のことだと思っている日本人がほとんどだが、現在でも結核は日本で最大の伝染病。空気感染する伝染病であるため予防するのは難しい、とのこと。感染しても実際に発症するのは10~20%程度だが、ひとたび発症し、治療せずに放置すると、5年以内に50%は死に至る。しかし、6ヶ月間の標準的治療法でほとんどの結核患者は治癒する治療可能な病気。
世界でも「三大感染症」(エイズ・結核・マラリヤ)の一つに数えられており、年間930万人が新規に発症している、という。また、その大半はアジアで確認されているため、日本に住んでいる私たちも、他人事では済まないのだそうだ。

発展途上国・フィリピンで見たこと

生徒メモ執り大角さんは、日本での研究・調査の他に、フィリピンでの感染症対策支援等を行ってきた。フィリピンは、アジア周辺ではトップクラスの結核患者数を有しており、フィリピン人にとって結核は、「日本で言う“風邪”のような、普通の病気」という印象を持っているが、実際は結核による死亡率は高く、「死が身近にある」と感じているのだそうだ。
そのため、フィリピン人は結核に対しての意識が強く、「結核を発症したら友達がみんな遠のいてしまった。それは病気以上につらいことだった」と語る少女がいた、という。
また、日本は上下水などはしっかり整備されていて、衛生環境の守られている国と言えるが、発展途上国についてはまだまだで、水道が整備されていないがために、感染症を予防するのは非常に難しいのだそうだ。
「遠い外国の話であっても、感染症に国境はなく、自分の健康を守るためにも、他国、または他人の健康を守っていく必要がある」と、大角さん。

感染症を研究・対策支援をしてきた経験より

大角さんは、「知る権利と知った者の責任」を強調した。「私たちは権利として、さまざまなことを知ることが許されているが、知ったところで黙っていてはいけない。この感染症についても、知った者として、自分が出来ることは何であるのかをよく考えてほしい。人生は限られているのだから、小さなことでも忠実に行っていってほしい。」と話された。
 また、大角さんは、フィリピン等で農村の発展に努めた指導者、ジェームズ・イェン(James Yen)氏の『Go To The People』を紹介し、講義は終了した。

go to the people

“Go To The People” by James Yen

質疑応答

大角さんへの質問には、感染症に対する質問が多かったが、それ以外に、大角さんの学生時代のことにも質問が及んだ。
大角さんは、医学部に入学したものの、途中で「何のために学ぶのか」がわからなくなり、それ以来大学の講義を欠席することが多くなり、結果的に留年という挫折を味わったそうだ。しかし、大学に通っていない間、旅先にて「学ぶということは、何かが変わることである」(林竹二『学ぶということ』より)ということばに出会い、自分が学ぶ意味を理解し、現在に至っているのだそうだ。

アンケート

前半のゲーム(図形で伝言ゲーム)については「楽しかった」「難しかった」の評価がきれいに半数で分かれた。
後半のお話は、「楽しかった」との答えが多く、「結核について間違った理解をしていた」「実は結核は結構自分に関係のある恐い病気だとわかった」と、真剣に話を聞いていた様子がうかがえた。
全体的に、コメント文をよく書いていた。

振り返り

コミュニケーションゲーム

コミュニケーションゲームの風景「いすとりゲーム」では、上級生が下級生に気を遣いつつもしっかり自分も楽しむ環境を作るよう努めている姿が見られた。また、ゲーム中に行った自己紹介では皆、「あなたの○○だった体験は?」という講師からの抜き打ちの質問にも、惑うことなくしっかり5W1Hを基本に話していた。さすがは考学舎の生徒。
「図形伝言ゲーム」では、伝える側がうまく伝えられたと思っても、受ける側にはしっかり伝わっていないことがあり、どちらが悪いのか、という議論が起こった。実際は、どちらかに問題がある、というよりも、コミュニケーションがうまくいかないときは、伝える側、受ける側の双方に問題がある、ということがよくわかった。生徒にはとてもよい経験になったことと思う。

大角さんのお話

大角さんの話は、とてもリズミカルで、聞く側に油断する暇を与えなかった。大角さん自身が感染症という世界的な問題に対して熱心に関わっており、その熱意は生徒にもよく伝わっていたようだ。生徒には、結核という病気を通して、世界が自分達にとって実は身近な存在なのだ、ということが伝わったのではないかと思う。

10サマーキャンプ

2010考学舎サマーキャンプ集合写真


今年の考学舎サマーキャンプは、参加者7名。最年少が12歳と全体の年齢が高く、更に比較的考学舎生活の長い、いわば「ベテラン」生徒が多い、という条件の中、3泊4日という例年より短い期間での協働生活を行った。
場所は避暑地小淵沢の隣の駅、信濃境駅から徒歩15分ほどの山荘、『楽の家』。これまで利用させていただいていた鈴木さん宅のすぐ上に位置する。建物の管理をされている塚田さんにはお礼申し上げる。

期  間 8月4日(水) から 8月7日(土)
参 加 者 生徒7名・スタッフ2名
宿泊先住所 長野県諏訪郡富士見町落合烏帽子3755-5 楽の家
食材提供 株式会社 山崎料理研究所
起   床 6時
消   灯 21時

以上

実施場所について

楽の家室内

サマーキャンプの実施場所である「楽の家」は、岡谷にて製糸業(養蚕)を営む商屋として利用されていた旧家を移築したものです。築100年以上の本格的な木造の建築物をご好意でお借りしています。

2010サマーキャンプの主なスケジュール

6:00 12:00 18:00 21:00

8月4日

    生徒到着 バーベキュー 川遊び 夕食 ナイトハイク
 5日 起床・朝食 考学舎 夏の二人三脚 夕食
 6日 起床・朝食 勉強 昼食 勉強 自由 夕食 花火
 7日 起床・朝食 勉強 昼食 片付け 解散・帰宅   

実施内容

今年の東京の茹だるような暑さを忘れてしまうぐらい、キャンプ地・富士見町は快適な天候だった。日差しは強いものの、日本家屋の風通しの良さは、時に長袖を必要とするほどだった。

学習風景
今年のサマーキャンプ参加者7名のうち、高校生が4名、小中学生が3名。非常に年齢バランスがよかった。また、サマーキャンプの経験が3回以上というベテランがほとんどだった。宿泊場所は異なるものの、キャンプの実情をよく知り慣れているため、誰が何を言わずともそれぞれが動くことができる反面、緊張感のなさが浮き彫りになってしまう危険も孕んで(はらんで)いた。

今回のキャンプのメインプログラムは、2日目に行った「考学舎・夏の二人三脚」。「昼食・学習・ネイチャーゲーム・運動」といった既定プログラムを、行動・コミュニケーション・判断に無責任になることが許されない「二人」(∗)という最小の団体人数で消化していく、というもの。異性・異年齢のパートナーとともに、いかにスムーズにコミュニケーションをとれるか、ということが試された。
(∗キャンプ直前に参加のキャンセルがあったため、一部変則的な組分けになった)

昨年導入した高校生による夜のミーティングは今年も実施、今年は更に、高校生による司会進行によって実施された。一日の反省や次の日に向けての打ち合わせを行った。このミーティングで取り決められたことには有意義なものが多かった。

学習の合間の風景また、最終日は普段は講師が行っているスケジュール管理が参加者全員に任され、状況によっては帰りの電車に乗り損ねてしまう危険もありながら、皆で協力して最後の清掃まで完遂し、無事に時間どおりに帰途に就くことができた。

起床後の朝活動については、夜の高校生ミーティングより提案された、「ハンカチおとし」「フルーツバスケット」を実施した。単純なゲームかと思いきや、ハンカチの落とし方やお題の提示にそれぞれ工夫して、肩で息をしてしまうほどの盛り上がりを見せた。「寝ている頭を起こす」という朝活動の目的は、しっかり達成された。

食事

  朝食 昼食 夕食
4日   BBQ(全員) 冷やし中華・豆腐サラダ(K.T)
5日 ご飯・納豆・なめこ汁・卵焼き(K.M) チームごと ハヤシライス・フルーツヨーグルト(K.M)
6日 ロールパン・目玉焼き・ソーセージ・グリーンサラダ・ヨーグルト(C.I) 豚丼・スイカ・野菜スティック(H.K) ご飯・鮭のムニエル・にんじんのグラッセ・ポテトソテー(C.I)
7日 ホットドッグ・コーンスープ・スクランブルドエッグ・サラダ(K.M) 焼きそば(H.K)  

( )内はシェフおよびスタッフのイニシャル

調理風景

ある日の夕食

キャンプのメインイベントと言っても過言ではない食事作り。今年はシェフ制を採用しつつ、夕朝食ごとに構成員の替わるチーム制も同時採用した。シェフには毎回異なるサポートメンバーが与えられる、ということ。シェフは、レシピの考案・買出し・調理・盛り付け・後片付けまでを責務とした。

シェフは主に高校生。レシピを事前にしっかり作成してきた者、また、キャンプ恒例イベントとなった、講師の“大好物”である「納豆」を食事のメインに据えた上でその日のメニューを考える者、食材の買出しの前に冷蔵庫の中の残り物を調べてメニューを決める者…それぞれが個性的に、しっかり責務を全うした。

サポートメンバーも今回は誰一人として離脱することなくサポートする姿を見ることができた。シェフに指示されたときもそうでないときも、自分から役割を担って準備をしていた。講師は手出しの必要がほとんどなかった。

また、ご近所にお住まいのご夫妻には毎年さまざまな面でお世話になっているが、今年は家庭菜園できゅうりが豊作だったとのこと、「収穫しにいらっしゃい」というご好意に甘え、毎日のようにきゅうり収穫のために家庭菜園に足を運ばせていただいた。もぎたてのきゅうりの瑞々しさがあれば、ペットボトル飲料の必要は全くなかった。

勉強

今年のキャンパーには受験生がいないということもあり、小中学生は午前中に2時間、高校生は3時間、夜に1時間の学習と、比較的ゆったりした学習プログラムだった。学習する手基本的には自分で学習プランを立て自分で時間を管理し学習した。自宅からしっかり課題を持参した者も、ほぼ手ぶら状態の者も、この夏休みの間に苦手な分野を克服しよう、と学習に励んだ。

これまでのキャンプでは考学舎での通常の学習姿勢同様、テーブルにパイプ椅子というスタイルでの学習だったが、「楽の家」は座卓スタイル。寺子屋のような雰囲気で学習することができたが、普段と違う座り方に慣れず、姿勢を崩してしまい頻繁に注意を受ける者もあった。日ごろの習慣がいかに大切か、ということを確認する良い機会だった。

また、夜の学習は高校生に課されたプログラムだったが、小中学生もそれぞれ持参した課題を手に、自習というかたちで自主的に参加していた。「皆がやっているのだから…」という理由で学習に参加していた小中学生もいたようだが、このような動機がキャンプ全体に一体感をもたらしていたようにも感じる。

午後の活動

立場川キャンプ場でバーベキュー・川遊び(1日目)

バーベキューの風景昨年のキャンプで好評だったバーベキューを今年も実施した。今年は、ある高校生が「バーベキュー隊長」になり、必要な食材や設備、段取りにいたるまでを事前に考え、バーベキューに臨んだ。火起こしチームと食材加工チームに人員を配分したりと、綿密な計画を練っていたつもりだったが、実際に実施してみると、抜け落ちていた段取りやシミュレーションしきれていなかったところがあった。このようなことは当然起こることだが、想定していなかったことが起こったときに、どのような判断ができるか、というのはとても大切なことだと実感した。

昨年は1時間以上を要した火起こしも、昨年の反省を生かして食材が加工されるより前にしっかり木炭に火をつけることができていた。何事も経験を積むということは大切だということを確認することができた。

川遊びの風景バーベキューの片付けの後、キャンプ場内にある川へ足を運んだ。高校生が半数以上を占めているのだから、少し川に手や足をつけて遊ぶ程度だろう…と思いきや、全員、しっかり水着着用。川が見えた途端に中に飛び込み、全身ずぶ濡れになって大喜び。どうやら自然(川)には、人を惹きつける特別な力があるらしい。年齢に関係なく…。

ナイトハイク(1日目)

サマーキャンプ恒例となったナイトハイク。今年のメンバーは大半が「おどかし担当」で、「おどろき担当」が不在のため、盛り上がりに欠けるのでは…という懸念があった。

バーベキュー同様、ある高校生が「怪談師」に任命されており、「怖い話」からスタート。事前にインターネットでこの地域の怪談ネタを探していたあたりはさすが。独特の緊張感に包まれながら、ナイトハイクのコースへ。数年前に利用した牧草地周回コースだったが、記憶に残っている者は少なかった。

1人ずつ歩いていくか?という案も講師から出されたが、月明かりすら存在しない暗闇を独りで歩くことはさすがに全員が拒否。最終的には、1人につきパートナー1人を指名する「ドラフト制」で2人組をつくり、周回する、という案が参加者から出された。しかし、今回のキャンプ参加者は奇数。確実に1人があぶれる。指名されず独りになってしまうのは…それぞれ緊張しながらチームが作られていった。

指名を受けた者も、最後まで指名されなかった者も、「なぜこの人に指名されたのか…?(指名されなかったのか…?)」と、自分を見つめる良い機会になったようだ。

考学舎・夏の二人三脚(2日目)

ネイチャーゲーム今回のキャンプのメインプログラムである、二人組活動。前述したとおり、二人という最小の団体人数で、お互いがあらゆる面で無責任にならず、コミュニケーションをいかにとっていくか、ということが試されるプログラムだった。

プログラムの内容は、昼食のレシピ考案、食材の買出し、昼食づくり、2時間の学習、ネイチャーゲーム、スポーツ、薪集め、火起こし(雨天のため結局中止)、他己紹介。どの順番でプログラムを消化するかは、チームごとに決める。ただし、話し合いで全てを決める。全体を通していかにコミュニケーションをとれているかを講師が評価し、個人単位で採点をした。

コミュニケーションが上手にとれているチームは、全般的に行動が早かった。話がかみ合うと、すぐにそれぞれの役割の中で行動ができ、お互い気を配りながらいかにスムーズにプログラムを消化できるかを考えて動いていた。

相手が苦手なことに対して、どのように手を差し伸べると解決できるか…普段、教室ではあまり考えないことだが、それぞれいい勉強になったことと思う。

花火(3日目)

特に予定されてはいなかったものの、話し合いから実施することになった。今にも雨が降りそうな悪天候の中、スーパーで花火を購入し、最後の夜を楽しんだ。花火の選び方にはその人の性格が出るもので、「手持ち180本セット!」という欲深い花火を購入する者も。その影響で、結局は全てを堪能できないまま火種が尽きて終了した。

全体を通して

真剣な表情前述のとおり、参加者に年長者かつキャンプ経験者が豊富だったため、講師がさほど動かない、予定に振り回されない、ゆったりとしたキャンプとなった。参加者はそれぞれ、日々の喧騒から離れて非日常の空気を存分に楽しむことができたと思う。また、みんなでキャンプを盛り上げていこう、という一体感も例年以上にあったように思う。

その反面、スケジュールに甘えることが出来ないため、個人の責任で動かなければならない場面が多く、ひとりひとりがキャンプを形成しているのだという自覚が必要だった。そのことを感じ取って動けた者と、流されるままに動く者とが共存することになり、その差は歴然だった。日常生活の中での状況判断力がいかにして養われているか、ということが、このような場面に影響しているのだろう。

自由が与えられ、かつ限られた時間の中で、何を選択していくのか?また、集団の中のひとりとして、いかに自分の役割を考え行動していくのか?そのようなことを試され、自分なりの答えを選んで、その判断から得られる結果に納得ができたかどうか。自信を得られたかどうか。ひとりひとりが異なる結果を持ち帰ることができた、そんなキャンプだったのではないか、と思う。

参加スタッフの声

使い慣れた鈴木様宅は、今年から通年で居住されるようになったため、今まで、布団をお借りしていた「楽の家」で、初めて宿泊させていただいた。とにかく広い。男女の寝室も、勉強や活動に使う部屋も、何よりキッチンが広かったのは、3食自炊のキャンプ遂行にとってありがたいことだった。

最終日に生徒たちと話していると、「今回はあまり勉強しなかったね」という言葉が聞かれた。時間数としてはほぼ例年通りだったが、2人組での勉強や、夜の勉強など、例年と少し違った形で、また、彼らのペースで行われた分、少なかったように感じてもらえたようだ。

今回は、高校生を初め、お互いに我慢したり譲ったりしながら、いろいろなことを進める。という面が見られたキャンプだった。もちろん、周りが見えずに自分勝手なことをしてしまう場面もあったが、特に2人組での活動では、普段我慢したり譲ったりするところがなかなか見られない生徒でも、よく我慢し、譲り、協力して課題をこなしていた。この経験が日常生活の中で、少しでも役に立つことを祈る。

例年どおり、多くの方のご理解とご協力を頂きこのキャンプは事故なく行うことができた。この場を借りて心から御礼申し上げます。バーベキューの食材をご提供いただいた山崎料理研究所(レストランおまかせ亭)様、ほぼ全員が初めてだったきゅうりの収穫を体験させて頂き、何より毎日新鮮きゅうりを味あわせていただいた石井ご夫妻。4日間を見守ってくださった鈴木さん、そして、楽の家管理人の塚田裕さん、本当にありがとうございました。(S.S)

今回で3回目の参加となりました。ゆったりしたキャンプの中での私の役割は、車の運転、写真撮影、昼食の準備、そして学習指導をちょこっと…私のプライベートの休日とほとんど変わらない生活でした。

そのおかげで、参加者ひとりひとりの様子をゆっくり見せてもらうことができました。比較的小規模なキャンプなので、それぞれどんな動きをするかな…?と楽しみにしていましたが、仲良し同士でくっつきっ放しでもなし、かといって自分の世界に閉じこもるのでもなし。全体の流れを確認しながら、自分の役割を自分で探して全うしようとする一同の姿がそこにありました。

それぞれ言いたいことは言い、聞くべきところは聞く。こんなアットホームなキャンプは、世の中探し歩いても、そう簡単には見つからないないだろうなぁ、と思います。

来年、キャンプをすることになれば、受験生中心の「勉強合宿」になるでしょう。そんな夏を迎える前に、いろいろな意味で贅沢なときを過ごせたことを感謝しています。(H.K)