19サマーキャンプ

今年の考学舎サマーキャンプは、部分参加も含め、参加者16名、5泊6日で実施しました。小学1年生から高校3年生までの幅広い年代の集まる協働生活でした。
場所は避暑地小淵沢の隣の駅、信濃境駅から徒歩15分ほどの山荘、『楽の家』。長い期間、厨房まで含めて利用させていただきました。建物の管理をされている塚田さんに心からお礼申し上げます。

期間 8月5日(月) から 8月10日(土)
参 加 者 生徒16名・スタッフ4名・卒業生1名
宿 泊 先 長野県諏訪郡富士見町境 3755-5 楽の家
食材提供 株式会社 山崎料理研究所
起床 6時
消灯 21時(中高生は勉強終了後)

以上

実施場所 楽の家 について

サマーキャンプの実施場所である「楽の家」は、岡谷にて製糸業(養蚕)を営む商屋として利用されていた旧家を移築したものです。築100年以上の本格的な木造の建築物を、2010年以降、ご好意でお借りしています。

2019サマーキャンプの主なスケジュール

6:00 12:00 18:00 23:00
8月5日 生徒到着 昼食 学び 夕食 学び
8月6日 朝活・朝食 学び 昼食 学び/野外活動 夕食 夜活動・学び
8月7日 朝活・朝食 野外活動(滝巡り)・昼食 夕食 学び
8月8日 朝活・朝食 学び 昼食 学び/野外活動 夕食 学び
8月9日 朝活・朝食 学び 昼食 学び/野外活動 夕食 学び
8月10日 朝活・朝食 グループプロジェクト・昼食 生徒出発

実施概要

2年前に出版された『お絵描きトレーニング』の影響か、生徒全体に占める小学生の割合が増してきた考学舎。これに比例してキャンプにも小学生参加者が増えました。考学舎のキャンプは基本的に、生活のすべてを自分たちで賄います。差し迫った際の急な判断も自分たちでしなければなりません。例年、中高生ばかりのキャンプであってもその判断が難しい局面は訪れます。自分たちだけで生活するのは大変…キャンプに参加する生徒たちは、楽しさばかりでなく、その難しさや苦労も自宅に持ち帰り、また次の年のキャンプへと備えます。

さて、前述のとおり、今年のキャンプは小学生が多く、中高生は小学生の生活のサポートにも回らなければなりません。机に向かって勉強ばかりしていられないのが考学舎のキャンプ。忍耐や寛容さも大いに問われます。

そのような事情もあり、今年のキャンプは例年以上に「グループ」で過ごす時間を多く持ちました。小学生から高校生まで、完全に縦割りのグループです。普段はぼんやり受け身の姿勢を貫く高校生も、時にリーダーシップを発揮せざるを得ない場面があります。日頃わがままを貫く小学生も、ぐっと我慢をして全体に協力せざるを得ない場面があります。皆が自分の持っている力以上のものを出さなければ生活全体が滞ります。日常的に家事をしている生徒もまったくしていない生徒も、それぞれがとてもがんばりました。

最終日には、そのグループでの時間の集大成として、あるテーマに沿った食卓を、グループごとに作りました。ただでさえも勉強や食事作りで自由時間がほとんど用意されていないスケジュールの中、隙間を縫ってグループごとに話し合いを重ね、それぞれの昼食に辿り着きました。たかが一食、されど一食。すべてのグループがミッションをしっかり成し遂げ、最終日を充実の面持ちで過ごすことができました。

野外活動や滝巡り等、ひとつ間違えば大事故もあり得る中、それぞれが自覚をもってひとつひとつのプログラムに取り組んだ結果、大きな事故やケガもなく最終日を迎えることができました(全力疾走で大胆に転んだわりに掠り傷で済んだ生徒1名と、キャンプ初日にギックリ腰を起こした講師1名はいましたが)。生活を通した「主体性」の大切さがよくわかる今年のキャンプでした。

朝活

サマーキャンプの朝は6時から始まります。一日の始まりにアタマとカラダをシャキッと起こすべく、朝食の前に朝活動の時間を設けています。起床から朝食までの間に、みんなで能動的に何かをしておくと、その後の動きが違います。

ただし例年、「じゃあ、何する?」で揉めるのも、朝活のお約束。生徒の主体性に期待したいところなので、生徒に企画してもらいます。しかしながら、何をやるか決まらないときはとことん決まらない…あまりに決まらなさ過ぎて、朝食準備の時間を圧迫することもしばしば。

そういうわけで、例年、主体的な動きのリーダーである年長の生徒たちに企画してもらっていましたが、今年は趣向を変えて、むしろ年少の生徒、しかもその多くはキャンプ初参加の、事情がよくわかっていない生徒たちに企画してもらいました。こうすると不思議なもので、企画が決まるのも早ければ、どんなハードな活動が提案されても誰も文句も言いません。優しい先輩たちに感謝。

人選が例年通りでなければ、活動内容も例年とはひと味違います。これまでは「おさんぽ」「ラジオ体操」「写真撮影」といった、比較的ソフトな企画が立ち並んでいましたが、今年は「リレー」「ドロケイ」「おにごっこ」と、体力温存のため守りに入る、といったようなことを考える余地はなく、まったく遠慮がありません。特にリレーでは、頭から一回転したりとかヘッドスライディングしたりする者も現れるくらい(大事には至らず)ハードな活動となり、アタマとカラダを起こすどころか午前中の活動に支障が出るのでは、と心配するくらい(心配には及ばず)目的に適った企画となりました。

食事

朝食 昼食 夕食
5 焼きそば(OG) ご飯
みそ汁
冷しゃぶ(M.O.)
6 雑炊
くだもの(桃)(A.Y.)
ポークカレー
サラダ(S.Y.)
ご飯
みそ汁
三色唐揚げ
サラダ
牛乳プリン(Y.O.)
7 五目ご飯
みそ汁
ひじき煮
ヨーグルト(K.M.)
おにぎり(Y.Y.・N.M.) ご飯
チーズハンバーグ
オニオンスープ
シーザーサラダ(I.Y.)
8 納豆ご飯
みそ汁
ウィンナー
ヨーグルト(S.A.)
チャーハン
中華スープ
イカ焼き
デザート(A.I)
ご飯
とろろ汁
鱒のホイル焼き
野菜炒め
ゼリー(Y.M.)
9 ご飯
みそ汁
目玉焼き
ウィンナー
ほうれん草のお浸し
琥珀糖(N.T.)
タコライス
くだもの(梨)(OG)
ご飯
スープ
夏野菜の炒め物
ゼリー(A.S.)
10 サンドイッチ
バースデーケーキ(OG)
グループプロジェクト
(全員)

※( )内は担当シェフ。「(OG)」は卒業生。シェフは「献立・買い出し・調理手順・片付け」を一人で考えます。

考学舎サマーキャンプにおけるメインイベントと言っても過言ではない、「食事」の時間。キャンプでは、「食べる」ことよりも「作る」ことに重きが置かれています。「作る」においては例年通りの「シェフ制」はもちろんのこと、今年のキャンプでは「調理グループ制」を大いに活用しました。人数が肥大化してきているだけに、皆で厨房に立つと渋滞ができてしまいます。無理にすれ違ったりすれば事故のもと。人数、学齢を考慮し、生徒全員が3グループに散りました。1グループが調理、残りのグループはお勉強。なかなか合理的な時間の使い方でした。

とはいえ、1グループ最大6名。レストランの厨房並みの人数。この人数にシェフが指示を与えつつ20名分超の食事を同時に作るわけです。小学生にも遠慮なくシェフをしてもらいます。小学生シェフが高校生に指示を出すのです。よくよく考えると、相当なことをしています。メニューの内容はキャンプ前に講師と相談しながら考えておきますが、キャンプ中の食事の流れや残り物食材の都合でメニュー変更を検討せざるをえない場合もあります。生徒たち、これによく対応していたな、と改めて感心させられます。調理中に事故もほとんどなく、調理所要時間を多少超えることもありましたが全食が無事に生徒(お昼はOGが奮闘)だけの手で作られました。全員がシェフを経験するので、シェフの苦労は誰もが知っています。だから、この時ばかりは皆の協力姿勢には目を見張るものがあります。この経験が、キャンプを終えて日常に戻っても大いに活きてくれることを願います。

「作る」が終わって、ようやく「食べる」です。食事作りに参加せず学習に勤しんでいた生徒たちが、実り多き学習への満足感と共に食卓を整えます。これまでは長机を「ロの字」にして全員でそれを囲むのが食卓スタイルでしたが、今年は一工夫。長机で4つの「島」を作り、それぞれの島を4~5人で囲みました。これまで食事の際の課題は「残飯」でした。人数が多いとどうしても多めに作ってしまいますし、それぞれ好き嫌いがあるため残るものが出てきてしまいます。これまでは口の字を囲む全員で残飯を消化(完食)しようとしていたため、「誰かが食べてくれればいい」という他人任せな意識を生んでいました。それが今年は島に分けられていたため、それぞれの島ごとに消化の責任が発生し、自主的に消化しようという生徒が増えました。それだけでなく、食事中のコミュニケーションも活発になり、とても楽しく充実した食事の時間となりました。

最終日の朝食の時間には、ちょっとステキなイベントが起こりました。キャンプ最終日のこの日、参加している生徒の中に、誕生日を迎える生徒(その数日後に誕生日を迎える生徒も)がいました。数日前にその事実を知ったOGを中心に、生徒たちが自主的にサプライズでお祝いを企画、実行してくれました。OGを中心にその生徒の好みのケーキを焼き、ピアノが趣味の男子生徒がこれまで弾いたことのなかったHappy Birthday♪を練習。時間をうまく作りながら、その生徒に知られないようにコソコソと。なんとなくソワソワとした空気に包まれていた中で進められた朝食の終盤、何人かの生徒がおもむろに動き出し、さらに他の生徒も連動して、サプライズイベントが決行されました。まさか祝われるとまったく思っていなかった当事者たちは目を丸くしていました。仲間の幸せのためにみんなで考えて動くこと。考学舎が一番望んでいる学びの実践の姿です。ケーキのろうそくを吹き消しみんなで「おめでとう」の大きな拍手を送りましたが、この拍手は、彼らのためにがんばった生徒たちにも送られたものだったのではないでしょうか。

まなび

幅のある座卓をロの字に並べ、生徒たちは外側に、講師は内側に、それぞれ向き合って配し、広い板の間をぐるっと囲むのが、サマーキャンプのまなびのスタイルです。参加生徒全員の名前の書かれた「学習予定表」が貼り出され、これに従ってそれぞれのまなびを進めていきます。

ただし、今年は講師との個別授業ではない「自習」の時間が例年以上に多く持たれました。事前に授業時間と自習時間がどれだけあるか、生徒たちはそれぞれ伝えられていたので、各自、自習時間に何に取り組むかを考え、そのための教材を用意し、キャンプに臨んでくれました。授業の時間に必要な知識の確認に費やす生徒、授業ではまかないきれない部分の自主学習に勤しむ生徒、次の授業のために予習をする生徒、学校から出されている夏休みの宿題を着々と片付けていく生徒、ここぞとばかりに読書に耽る生徒…自ら課題を設定し取り組んでくれたので、教科や時間割に縛り付けなくても学びが進められる、まさに自律学習が体現されていました。(ちなみに、授業時間として割り当てられていた時間は、考学舎での通常の授業時間数に準じて設定されていました。)

その一方で、「時間管理」という面では課題が残りました。自習の時間を持て余す生徒はほとんどいませんでしたが、「いつまでに何をやっておくか」や「与えられているこれだけの時間にどれほどの学習ができるか」といった、時間に制約のある中での自主学習にうまく対応できる生徒は少なかったように思います。これについては、日頃、学校や考学舎から帰宅した後の自宅学習の時間を、どう主体的に管理しているか、というところが問われていたと思います。

主体的なまなびには、「計画(Plan)・準備(Prepare)・自分事にする(Personalize)」ということが必要である、と先のニュースレターでもお知らせしたとおりです。自分の学習のための計画や準備を他人任せにせず、試行錯誤を繰り返し、時間も内容も自らの力でコントロールできるようになれば、それは立派な「主体的な学習者」です。考学舎の生徒たちには、ぜひそんな学習者を目指してほしいです。

特別活動

野外活動

昨年のキャンプから取り入れている「野外活動」、今年も実施しました。受験生や高校生たちにはまなびに集中してもらい、キャンプ初参加の年少の生徒たちを中心に、キャンプならではの自然体験の時間をキャンプ2日目、3日目、5日目に楽しんでもらいました。

初日は年長グループと年少グループに分かれ、それぞれの体力を考慮し近所の森林散策。小学生は虫を捕まえてきていました(それを露骨に嫌がる年長の生徒たち!)。次の日にはこれまた近所の畑をお借りして、農作物の収穫体験。今年はブルーベリーやトマト、ジャガイモと、バラエティに富んだ収穫ができ、収穫した作物は食材として、みんなの口に運ばれました。5日目には、宿泊地近辺の土地事情に詳しい生徒のお薦めで、宿泊地から少し離れたところにある神秘的な森体験。他の観光客もいないような森の中で、マイナスイオンをたっぷり受けることができました。

キャンプ中、自然の中に身を置いておきながら屋内の生活に多くの時間を取られているため、この野外体験はとても貴重な時間。今後はこの時間をもっと増やしていければと思います。

ナイトハイク

朝食作りから始まり夕方まで学習に勤しみ夕食を作り食べ終えたらもう一日はおしまい…そんなキャンプ生活ですが、夕食後のほっとひと息(その後にまた学習の時間が待っている)ついた頃に、夜空を見ながらお散歩の時間を、一晩だけもつことができました。

あいにくの天気で満天の星空を眺めることは叶いませんでしたが、宿から少し離れたところにある農道を、2,3人のグループに分かれてただ歩きます。懐中電灯で照らさなければ道がどこにあるのかもわからない暗闇の中を、ただ、歩く。たったこれだけのことでも、サマーキャンプの風物詩です。こんな時間だからこそ、普段は話さないようなことを口にしたり、生活の中ではまったく気にしなかったことが気になったり。ほんの20分程度のお散歩の中にもいろいろな発見がありました。

滝巡り

野外活動として毎年候補に挙がっては立ち消えていた「滝巡り」。今年は好条件がそろっていたため、決行しました。例年、川遊びに利用している尾白川渓谷。川遊びに利用していた場所がそもそも上流域なのですが、これをさらに上っていくと、大きな滝をいくつも観察(体験?)することができます。ただ、その道程、わりとハードなのです。麓の駐車場にいらっしゃった係員にも「装備をしっかりしていないと大変だよ」と忠告されるほどの道程です。

その日の朝食準備の裏でせっせとおにぎりを拵え、準備万端でいざ渓谷へ。いくつもの滝を横目に見ながらアップダウンを繰り返すこと1時間強。この日の目的地でもある「神蛇の滝」に無事に全員(ギックリ腰発症中の講師を除く)が到着しました。

マイナスイオンたっぷりの非常に涼しい(寒いくらい?)のロケーションでしたが、すでにみんな汗だく。冷たい川につかりながら持参したおにぎりでランチタイムにする生徒もありました。しばらくの休憩の後、ひとしきり川遊びを堪能し、体が適度に冷えたところで帰途につきました。往路の半分くらいの時間で麓に到着。その後、ゆっくり温泉に浸かり、ピークに達しつつあるキャンプ前半の疲れを洗い流しました。

グループプロジェクト

先にも触れましたが、今年のキャンプは縦割りグループでの取り組みを多くもちました。キャンプ全体を通して同じメンバーでそれぞれ一つのテーマに挑みます。考学舎は個別指導教室であるにもかかわらず普段から学年性別の違いを感じさせないくらい仲の良い生徒たちではありますが、実は全員、とても個性的。グループでそれぞれ役割を担い取り組む、となると、相当難しいのでは、というのが当初の懸念でした。

初日の昼食後に3つのグループメンバーとテーマが発表されました。テーマは「持続可能な食卓とは?」。ちょうど数か月前のゲスト講義で「SDGs(持続可能な開発目標)」について学んだ考学舎生。難題に怯むことなく、各グループの目標として設定された「最終日に持続可能な食事を拵える」に向けて、学びと生活の合間を縫って連日話し合いの時をもちました。年長の生徒がリーダーシップを発揮して話し合いをとりまとめ、作業が必要なときはそれぞれが消極的にならずに自分の作業を探している姿が窺えました。考学舎生、ちゃんとやれるもんです。

そしていよいよ最終日。グループごとに考案した「持続可能な食卓」を実現すべく、協力しながら調理。初日からずっとこのグループで食事を作ってきているので、意思疎通と協力体制はバッチリです。すでに前の日から食材を仕込んでいたグループ、「食卓だから」とランチョンマットにまで「持続可能性」を感じさせるグループ、火を一切使わない献立で勝負したグループ。まさに三者三様の「持続可能な食卓」が出来上がりました。

今回のプロジェクト、ただ作って満足、では終わりません。講師及びOGが審査員となって、それぞれのグループが「持続可能性」をどれだけ達成できたか、実食とともに審査しました。甲乙つけがたい中で優勝グループが選ばれましたが、その結果に不満を漏らす者もなく、優勝グループを称えていました。きっと、それぞれが自分たちの最善を尽くし、最後まで成し遂げることができた、そういう時は、まず自分の中に満足があり、相手の努力も知っているからこそ、不満も出さず素直にお互いを認め合えるのでしょうね。

全体を通して

だいたい1週間程度、学習、食事作り、温泉、野外活動の繰り返し…とてもシンプルな生活が、サマーキャンプの恒例です。毎年、もう少し工夫すればもっと充実するのではないか?(いや実際には計画も準備もしておきながら時間の都合で出来ていないプログラムもあるのですが)との思いで検討していますが、結局、このシンプルな体験が、いまの考学舎生にはちょうどいいのではないか、と思わされています。

若いアタマから発想されるアイディアというのは素晴らしいもので、一見して何もないところに、創意工夫によって皆が楽しめる何かを創り出してしまいます。おそらくそれは、物に囲まれ充足しきった日常の中では光り輝くアイディアには映らないかもしれません。しかし、「いま、この場所、このメンバーで」という一期一会を大切にしようと思えばこそ、それをみんなで共有しよう、という思いがあればこそ、些細なことでもみんなで笑い合うことができます。

このキャンプという「場」を体験した生徒たち、キャンプ後の日常に戻っても、キャンプ前とは違った「強さ」のようなものを感じさせてくれています。協働生活を通して絆が深まった、とか、我慢を強いられる生活に耐えた、というひと言では済まされない、あの「場」を体験することでしか身につかない何かを得てくれているように思います。

みんなで楽しむために自分はどう動こうか?目の前のあの人が幸せになるためにいま自分は何ができるか?と、他人のために主体的に動くこと。きっとそんなことを考える機会は日々の生活の中にいくらでも転がっているのでしょうが、受け身になることがある程度強要され自分のことに必死でそんなことにかまっていられない、ということもあるかと思います。シンプルだからこそ、みんなで充実させていきたい。そんな主体的な思いが生徒たちの中に芽生え、キャンプは充実していきます。そして、キャンプ後の日々の学びもより主体的に充実していきます。

きわめて個性的な生徒たちによって作り上げられていった、今年のサマーキャンプ。常日頃、「キャンプが考学舎の学びの集大成だ」と言っていますが、その考えに間違いないな、と思わされました。

参加スタッフコメント

今年もキャンプを無事に迎え、無事に終えることができました。考学舎のキャンプはシンプルでありかつユニークであると思います。ここまで活動プログラムに頼らないキャンプも珍しいのではないでしょうか。ご家族の皆さんのご理解とご協力がなければ成り立たないことだな、と改めて感謝の思いでおります。

なんとも情けない話ですが、キャンプ初日にギックリ腰を発症したのは私です(しかも二度目)。日頃生徒たちに「自己管理が大事!」と言っている立場でありながら、自分の体調さえ管理できておらず、キャンプ中は生徒たちにも多大な迷惑をかけました。

それでもみんな、まったく使い物にならない私にとても優しくしてくれました。容易に立ち上がれないと知るや必要なものをわざわざ取りに行ってくれたり、床に座れないと知るや椅子を運んできてくれたり、食事中にもこちらから頼んでもいないおかわりを必要以上に盛ってきてくれたり。

現在、考学舎は史上最多数の生徒を抱えております。このまま来年のキャンプに突入したら、いったいどんな規模になるのだろう…との心配はもちろんありますが、それと同時に、こんなに主体的で思いやりのある生徒たちによって築き上げられている伝統あるキャンプですから、きっとどうとでもなるのだろうな、と、今から楽しみです。ありがとうございました。

Hidetoshi Kanazawa

今年も無事にサマーキャンプを終えることができました。

自ら生活を作る場として完全三食自炊で行うキャンプも20回目を迎えたことになります。楽の家の塚田さん、おまかせ亭のみなさん、そして参加してくれた生徒、ご家族、生徒を支えたスタッフ、と今年も多くの方にご協力を頂きました。みなさんの協力があったからこそ、大きなケガや病気もなく、無事に予定をこなすことができました。本当にありがとうございます。

都会の生活の中では、季節の果物が1年をとおして手に入り、切り身どころか料理できた食材を買うケースも増えています。食材を買って一から料理することが減っているのはもちろん、食や自然への関心は薄くなる一方です。教科書で、インターネットで様々なことを学ぶことができます。しかし、実際に身体を動かし、自分で体験するに越したことはありません。

地に足の着いた考えを持てる大人に、育ってくれることを祈りつつ。

Satoshi Sakamoto

成長の理想的な環境である考学舎キャンプを、今年も生徒たちに提供することができました。ご理解・ご支援くださっている皆様に心から感謝申し上げます。

より良いキャンプを作るため、毎回何かしらの変化を加えている考学舎キャンプですが、今回は新たな成長の場として、グループ制とグループワークを実施しました。これまで、自活に苦労しつつ、一方で大きな自由を楽しんでいる生徒たちを見ていたので、グループやワークという“制約”が、自由の楽しみとそれに伴う成長を奪わないか、という懸念もありました。しかし懸念はまったくの杞憂で、生徒たちは、制約がなければ引き受けなかっただろう役割を、とまどいながらも責任をもって果たしていました。考学舎の生徒たちの学ぶ力をあらためて認識させられ、嬉しく、頼もしく感じたキャンプでした。

彼らの力に応えるべく、これからもキャンプに限らず様々な成長のチャンスを提供していきます。たくさんの色々な成長が楽しみですね。

Yusuke Nakamura