22サマーキャンプ


今年の考学舎サマーキャンプは、部分参加も含め、参加生徒数16名、6泊7日で実施しました。小学2年生から高校3年生までの幅広い年代の集まる協働生活でした。
場所は避暑地小淵沢の隣の駅、信濃境駅からほど近い山荘、『楽の家』。長い期間、厨房まで含めて利用させていただきました。建物の管理をされている塚田さんに心からお礼申し上げます。

期間
8月4日(木) から 8月10日(水)
参 加 者
生徒16名・スタッフ2名・卒業生2名
宿 泊 先
長野県諏訪郡富士見町境3755-5 楽の家
食材提供
株式会社 山崎料理研究所

実施場所、楽の家について

サマーキャンプの実施場所である「楽の家」は、岡谷にて製糸業(養蚕)を営む商屋として利用されていた旧家を移築したものです。築100年以上の本格的な木造の建築物を、2010年以降、ご好意でお借りしています。

2022サマーキャンプの主なスケジュール

6:00 12:00 16:00 19:00 23:00
8月4日 到着 昼食 荷物整理 風呂・
勉強
夕食 夜活・
勉強
8月5日 朝活・
勉強
朝食 勉強 川遊び 勉強
8月6日 野外活動 夜活・
勉強
8月7日 野外活動 勉強
8月8日 勉強 夜活・
勉強
8月9日 山登り 勉強
8月10日 出発

実施概要

毎年夏の恒例イベントである考学舎キャンプは、3年ぶりの開催となりました。

キャンプのテーマは変わらず「自活と自習」で、毎日、食事や掃除を自分たちで行いながら、あとの時間は勉強をするのが基本スケジュールです。加えて、特別活動として、山や川へ遊びに出かけたり、自然の中で勉強したりするお楽しみの時間も準備しています。今回は高校・大学受験生が少なかったため、午後は特別活動を毎日実施し、全員が参加しました。

このように基本のスケジュールは存在しますが、実際に何がどう行われていくかは、参加者次第で大きく変わります。今回、久しぶりの開催である上に、参加生徒16名のうち11名が初参加、しかも小学生の割合が高いという、いつも以上に不確定要素の多いキャンプでした。そのため、日々の活動についてチーム制をとって、年長者が年少者の面倒を見やすい環境を準備しました。

講師にできるのはそこまでで、あとは生徒たちの頑張りによりますが、年長者は、人によっては過去のキャンプでの先輩たちを思い出しながら、それぞれに苦悩しながら、年少者を巻き込んでキャンプを運営していってくれました。年少者たちも、年長者や周囲の助けを借りながら、助け合って生活するということに、一生懸命取り組んでくれました。

初対面の生徒も多かったですが、考学舎生であるという共通点をたよりに積極的に関係を作っていました。生活を進める中で、自身で、または助け合いながら、それぞれに自律して行動することができ、安全無事に、良質なキャンプとすることができ、キャンプにおける生徒たちの成長や適応力の高さを思い出させてくれました。

朝活

キャンプの朝は忙しく、自分たちで朝食を準備して、食事を終えると、勉強が始まります。しかし、ほとんどの生徒は、夏休みには朝早く起きる生活になっていないため、キャンプで6時に起床して、さっそく動き出すことは困難です。

そこで、起床後は、頭と体を目覚めさせる目的で朝活を行うことが、キャンプの通例となりました。

ただ、朝活で何をやるのか、と考えるのも、大変なことで、過去には30分以上かけても決まらないということもありましたが、今回は2チームが交互に朝活の内容を考えるようにして、前日の夜から考えてもらいました。そのおかげもあって、天候によらず、毎日すんなり朝活の内容を決めることが出来ました。

朝活は、参加者の態度によって、目覚めにならないこともありますが、今回は全体として、積極的に参加しなければならない内容が多く、朝活の役目をしっかり果たしていました。中でも、雨の日に行われた腕相撲大会は、男女、年長年少を問わず予想外に白熱し、体がばっちり目覚めましたが、全力をつくした代償に、一部の生徒と講師はしばらく腕に力が入らず、午前の勉強に少し支障をきたすほどでした。

朝活メニュー

鬼ごっこ、腕相撲、だるまさんがころんだ、散歩、手押し相撲

食事

キャンプのメインイベントともいえるのが食事です。誰か一人がシェフとして、献立、買い物、調理を考え、他の人が調理を手伝います。普段料理をしない生徒にとって、何から考えていいか分からない、しかも10人を超える大人数の食事を作るため、調べたレシピをそのまま使うこともできず、とても難しいワークであるといえます。

今回は、初参加の生徒も含めて、事前にしっかり献立を考えてきてくれ、また人によっては自宅で練習まで行い、万全の態勢で臨んでくれました。準備があれど、買い物から困難はあり、目当てのものが無かったり、量を買い過ぎたり、ときにメインの食材を買い忘れることもありました。料理経験が少ない生徒たちにとって、調理の動きを具体的に想像することは難しく、文章でレシピを用意するに留まるため、実際の調理は大変です。皆が大変さを共有するため、シェフを中心にしつつ、チームみんなが自律して動く必要性を感じて、試行錯誤して調理を進めていきます。例年、調理時間が予定を大幅に超えることも多々ありますが、今回のキャンプでは、チームが上手く機能し、回を重ねるごとに皆の動きが良くなっていったため、ほとんどが時間通りに行われました。

調理が終われば、あとは食べるだけと、気は抜けません。食事と勉強では、長机をロの字に並べて、その外側に座ります。互いに距離はありますが、皆の顔が見える状態で、大人数が顔を見合わせての食事は楽しいものです。しかし、その楽しさからおしゃべりに夢中になってしまったり、または苦手なものがあるために、食べられずにずっと置いていたりして、食事が進まないことが多々あります。生徒同士で互いに声掛けがあるとよいですが、大変な調理を終え、楽しく食事している生徒たちにはもうそういった意識はなく、講師が声をかけて食事を進めていました。それでも、予定をちゃんと進めることへの意識ができはじめると、食事でも生徒の中で声掛けがなされるようになり、例年講師が大量に引き受ける残飯の処理まで、生徒が積極的に行ってくれました。

メニュー
朝食 昼食 夕食
4 持参弁当 親子丼
ネギの味噌汁
チーズケーキ(翌朝)
(A.S.
R.M.)
5 具沢山味噌汁
ご飯
出し巻き卵
チーズケーキ
(K.O.
C.A.)
おにぎり
具沢山味噌汁
(OB) オリジナル焼きそば
わかめスープ
(S.F.)
6 サンドイッチ
サラダ
(S.R.) ハヤシライス (OB) からあげ2種
ご飯
味噌汁
フルーツポンチ
(I.Y.)
7 チキンライス
サラダ
チョコレートケーキ
(R.S.) 焼きそば (OB)

鮭のムニエル
ジャガイモと人参の味噌汁
パイナップル
(A.I.)
8 二色丼
味噌汁
(T.M.) オムそば
(OB
講師)
餃子
チャーハン
中華たまごスープ
(S.Y.
M.H.)
9 フレンチトースト
サラダ
(H.T.) おにぎり (OG) たらことエビのクリームパスタ
コンソメスープ
(H.M.
K.H.)
10 スクランブルエッグ
サラダ
トースト
プリン
(Y.Y.) 炊き込みご飯
エビとほうれん草の中華炒め
味噌汁
(OG)

※( )内は担当シェフ(イニシャル。OB、OGは卒業生)。
シェフは「献立・買い出し・調理手順・片付け」を自分で考えます。

まなび

「自活と自習」をテーマとするキャンプ中の学習では、授業も行いますが、自習をベースにしています。

今回は、毎日午後に特別活動を行ったため、午前・夕方・夜が学びの時間となり、多いときでは一日に10時間の学習を行いました。すべてが自習ではないにせよ、相当な時間を自習に使うことはなかなか難しいものです。

毎日の学習習慣がしっかり身についている生徒はあまりいませんから、まず時間になったら学習を始めるところから、講師が声をかけます。また、事前に教材を準備して持ってきていますが、目的を明確に持たなくては、自習において学習を始めることはむずかしいため、講師と相談をして一日の自習内容を考える必要があります。

しかし、最初の1,2回こそ、声掛けが必要ですが、すぐに自習することに慣れると、以降は、当たり前のように勉強を開始していました。また、一日の学習計画についても、毎朝おおまかに設定し、やる気に応じて、うまく進めていました。

一週間だけのことですので、キャンプ後まで継続するような習慣になることは少ないと思いますが、一度でも勉強を当たり前のこととして捉え、計画的に行動した経験は、確実に力として残っていますので、この力をさらに伸ばし、発揮してもらいたいところです。

特別活動

「川遊び」

前日まで大雨で、川の様子が心配でしたが、問い合わせてみると、問題ないようだったため、川遊びを決行しました。

ただし、まだ2日目ということもあって、食事や掃除など、ここまでの活動の時間が長くなってしまったため、学習時間を確保するために川遊びは時間を減らして行いました。場所は、いつもの尾白川渓谷でしたが、時間の節約のため、川遊び後に行く温泉施設により近い、整備された川で遊ぶことにしました。

遊びやすく、混みあう場所であるようでしたが、雨に挟まれた天候のおかげもあって、人が多すぎることはなく、気にせず遊べました。滑り台を楽しんだり、本気でプロレスしたり、河原でおしゃべりしたり、川そっちのけで昆虫を追いかけたり、それぞれ思い思いに、気持ちいい自然を堪能し、気持ちを解放していました。

「野外活動」

ここ何回かで定番となった野外活動を今年も行いました。

今回は、自然の中でお絵かき作文を行うという、これまで以上に考学舎らしい取り組みでした。遠出する以外にも、せっかくの自然を満喫してほしいという狙いもあって、宿泊施設のまわりで、気に入った風景を文章で説明する、「風景から絵」というワークを課しました。

外には出られるものの、結局は作文するわけなので、あまり乗り気にならないかもしれないという懸念がありましたが、そこはさすがの考学舎生でした。企画を説明すると、面倒くさそうな反応はするものの、それぞれ好きに散策したのち、皆すんなりと作文を始めていました。

風景を見て、自由に作文するというのは、大人にとっても、少し頭を悩ませるものですが、日頃から考学舎で作文を書かされている生徒たちにとっては、大きな問題ではなかったようでした。

作文が終わると、今度は別の人が書いた文章を持って、その風景を探す、「文から風景」を行いました。風景にとって重要なものをしっかり書き込んでいたため、ほとんどの人が風景を探すことが出来ました。人の書いた文章を読み、また自分の書いた文章を読まれたことで、作文が人に伝えるためのものであることが少し意識されたかと思います。

「山登り」

今回のキャンプは、前半と後半で参加者が多く入れ替わるものでしたので、後半の楽しみとして、山登りを企画しました。

参加者に小学生が多く、また例によって時間が押していることもあって、近場で軽い山登りとなりました。実際に登ってみると、かなり勾配がきつく、所要時間こそ30分ほどでしたが、ゴールに着いた時の達成感は、本格的な山登りのようでした。ゴールでは、おにぎりの昼食を取り、少しだけ散策すると、入場時間に制限のある麓の温泉に入るべく、あまりゆっくりすることなく下山しました。

短い時間でしたが、みな全力で楽しみ尽くそうという気持ちがあり、充実したアクティビティとなったと思います。

「夜活」

例年、少しだけ遠出をして、星を見たり、花火をしたり、ナイトハイクをしたりする夜活ですが、今回は、天候と時間の関係で、宿泊施設のまわりで楽しみました。

花火は、宿泊施設の目の前のスペースで、手持ち花火だけやりました。周囲には草が生えていて、噴き上げ花火を安全に行うには少し狭く、我慢してもらいました。夏の花火が、さらに暗くてお互いの顔もほとんど見えない状況が気持ちを上げるのか、数日前までお互い知らなかった者同士がわいわいと盛り上がっていて、考学舎らしさを感じました。

ナイトハイクは、宿泊施設から1分も歩かないところで800mほどの道のりをぐるっと一周する形で、実施しました。昼間には目にしていた場所でしたが、まわりに明かりのない真っ暗闇によってその表情を変えていて、ナイトハイクをするのに十分な環境でした。講師と一緒がいい者はまとまって、残りはペアで順に歩きました。家族のような考学舎生といえども、二人きりで話をすること機会はあまりなく、ちょっとした緊張感はあったと思いますが、互いに信頼のある者同士、静かな時間のおしゃべりを楽しんだことと思います。

全体を通して

今回のキャンプは、天候に恵まれたこともあって、アクティビティが例年より多くなりましたが、自活の大変さはいつも以上であったかと思います。

何人かの経験者たちも、前回の参加時には先輩がたくさんいる状況でしたが、今回は3年ぶりの開催で急に自分たちが先輩となり、ほとんどが初参加者で小学生も多い、という難しいキャンプを進めることになりました。誰に何をやってもらうといいか、いかにやる気を出してもらうか、など、キャンプを運営することだけでなく、後輩の経験・成長のためを思って、頭を悩ませてくれました。もともと責任感があり、気遣いもできる彼らですが、正直なところ、初対面の小学生らを率いて考学舎キャンプを進めるには若干の不安もありました。

しかし、ふたを開けてみれば、求められた役割に対して想像以上のリーダーシップを見せてくれ、キャンプのもたらす成長効果を強く感じました。年少者たちも、年長者に甘えて自由と自然を楽しみつつ、雰囲気を盛り上げたり、要所で一所懸命に働いたりしてくれました。先輩の頑張りを見ることで、自分がどう動くべきかを考えてくれていたようでした。

考学舎では、社会で生きていく力を伸ばすことを目指していますが、キャンプでの生活は、社会で生きる力をたくさん要求され、それに応えていくことで、日常ではできない成長を促します。このように書くと、自活と自習のキャンプは、大変なことばかりに思えますが、それでもたくさんの生徒が、特に一度参加した生徒は可能な限り毎回参加してくれます。その要因は、解放的な自然や、仲間たちと楽しく過ごす時間によるところが主たるところでしょうが、キャンプの終了を惜しみつつ心地よい疲労感のある表情で帰路につく生徒たちを見ていると、「キャンプに参加すると実感できる成長がある」ということも、小さくない理由ではないかと思います。

スタッフコメント

まずは今回も、大変お世話になりました、楽の家、塚田さんには心からお礼申し上げます。そして、例年通り素晴らしい食材を提供してくださいました、レストランおまかせ亭の山嵜シェフ、大久保シェフにも心からお礼申し上げます。山嵜シェフは6月30日に逝去され、これに伴いおまかせ亭は閉店することになってしまいました。改めて感謝を申し上げるとともに、心からのご冥福をお祈りいたします。
3年ぶりとなったキャンプ、前日には講師1名が新型コロナウイルスの濃厚接触者となったことでスタッフも2名となりました。必至だったキャンプ担当講師はもちろんですが、卒業生として手伝ってくれたOB、OGには本当に助けられました。ありがとうございます。
参加してくれた生徒たちは、最初は探り探り、川遊びを境に積極的にキャンプに参加し関わってくれました。初参加、初めて話す、など新しいかかわりも多かった今回のキャンプですが、年少者から年長者まで、自分のできる協力を惜しみなくしてくれました。もちろん疲れて布団にピットイン、というタイミングのあった生徒もいましたが、それぞれが、自分のできることをできる範囲で持ち寄って生活を成り立たせてくれたのではないかと感じます。川や山といったお楽しみはあるものの、考学舎のキャンプは生活を作るキャンプですから、昨今多く行われているキャンプと比べるとかなり地味です。仕掛けも少ないので、楽の家というステージや周りにある自然という舞台装置にすべてを委ねています。生徒は講師より、この舞台と舞台装置から多くを見つけてくれました。そして、多くを体験し、多くを学んでくれました。送り出してくださった保護者のみなさん、参加してくれた生徒のみなさん、ありがとうございました。Satoshi Sakamoto

考学舎が提供する学びの環境として、重要な位置を占めるサマーキャンプ。2001年より毎年開催していましたが、2020年と2021年は感染症拡大防止のため、実施できませんでした。生徒たちに大きな成長の機会を提供できないことに、悔しく、申し訳ない気持ちでした。今年も、感染状況は悪化する中でしたが、楽の家とおまかせ亭の皆さま、保護者の皆さま、卒業生のお二人、そして生徒たちのご協力とご理解によって、キャンプを開催することができました。心より感謝申し上げます。
今回は、初対面の多い中で、面倒を見る・見られる関係が良く築けたキャンプでした。アクティビティが比較的多めだったり、夜は恋バナで遅くまで起きて翌朝の起床時間に起きられなかったりとユルい部分もありましたが、年長者は年少者の面倒を見ることについては強い責任感で遂行してくれ、結果として、皆よく動くことができていました。来年は、今回の参加者は反省を生かし、そして新しい参加者が増え、また別のキャンプになるはずです。どんなキャンプになるのか今から楽しみにしつつ、より良い成長の場となるよう、さらなる工夫を考えていきたいと思います。Yusuke Nakamura