国際バカロレア(IB)について(2016年1月のコラム)

国際バカロレア (IB)

日本で知識偏重からの脱却、ゆとり教育が話題になっていた90年代、私はIB(国際バカロレア)に出会いました。徹底的に思考を求めるこの考え方に共感したとともに、誰が取れるんだろうと思いました。非常に厳しい課程だと感じたのです。まさに、エリート養成のための仕組みだと感じたのをよく覚えています。

その後、考学舎では一人の生徒が大変な苦労の末取得、今年、来年と一人ずつ取得予定でがんばっているという状況です。日本では、現在30校ほどで取得可能、大学入学資格として有効なだけでなく、一部、受験時の試験免除の条件としても有効になっています。これから2020年に向け、200校で取得可能になり、試験免除等を行う大学も増えることが予想されています。

起源と一般説明

スイスで始まったこの制度、高校卒業時にとるDiplomaは1960年代からあるようです。小中学生向け、Primary、Middleはいずれも1990年代に設置されました。世界の複雑さを理解し、それに自ら対応できる人材を育てることが目標とされています。欧米では、大学の入学資格として多くの大学が認めています。

現状

北米 ヨーロッパ オーストラリア 日本 アジアなど、世界各地で導入を進める学校が増えています。特にいわゆるインターナショナルスクールでは導入している学校が多い印象です。そして、国としてこの資格を高校卒業資格に準じるものとして認めていく流れもでてきています。日本も事実上この流れに乗っています。しかし、学校として導入しているからといって、全員が取得できるわけではない、全員に取得させるわけではない、のも、国際バカロレアの特徴ではないでしょうか。日本での現状がわかりやすいのは以下の2つのサイトです。

特徴

国際バカロレアの特徴を私なりに考えてみたいと思います。このカリキュラムをひとことで言うと、「とにかく厳しい」です。そしてもう一つ、評価基準が細かく決まっている。この2つを両立させているところが既存のカリキュラムとの違いではないでしょうか。

厳しさはどこから来るか?

知識を問う部分の他に、その知識を活用させる学びが各セクションにあります。そして、学んだ知識を使い、考えて表現するアサインメント、小論文が随所で課されるのも特徴です。覚えるだけではできません。そこから考える部分が同様に重視されている印象です。

よさ、わるさ

こうして、思考する力を徹底的に鍛えられるカリキュラムになっているのがやはり、国際バカロレアの良さだと思われます。一方で、卒業生全員が取るにはかなり厳しいカリキュラムであることも間違いありません。エリート教育のカリキュラムではないか?そういった意味で公教育にはそぐわないのではないか?という懸念にもうなずけるほどの難しさです。

現在の日本の学習指導要領や高校卒業資格と何が同じで何が違うのか?

とにかく、求められる勉強量が多く、知識と同時に、その知識を使って常に考えなければならないところは本当に大きく異なります。真面目に取り組むと、相当な思考力が鍛えられるカリキュラムだと思います。また、問題の出題意図や、評価方針がはっきりしているところも大きな違いです。今まさに社会で求められる、「課題を設定し、それを解決できる人を育てる」には、非常によくマッチしています。2020年の大学入試改革で、大学進学希望者は、知識だけでなく、知識を使って思考する力を求められるようになります。そんな力をつけるにはぴったりのカリキュラムです。

簡単に国際バカロレアについてまとめてみました。思考する力を鍛えることは、今の高校生に必要だと思います。高校生に求める知識レベルとして高すぎるのではないか、と思われる範囲も一部あるのですが、あくまで考える力を刺激するためのもの、と考えれば納得もできます。日本の高校で、あえてこれを導入する必要があるかどうかは難しいところですが、少なくとも、思考する力を育てるカリキュラムの考え方や、評価基準は非常に参考になるものだと思います。