夏の特別活動として定着したサマーキャンプは、小中学生中心のメンバーに一新されてから今年で早や3回目。「自活と自習」をテーマに、年齢の違う生徒達が協働生活を行った。場所は避暑地小淵沢の隣の駅、信濃境駅から徒歩15分ほどの山荘である。毎回別荘を快くお貸しくださる鈴木さんにお礼申し上げる。
期間: | 7月30日(月)から8月4日(土)(部分参加者あり) |
参加者: | 生徒6名・スタッフ3名 |
宿泊先住所: | 長野県諏訪郡富士見町落合烏帽子3755-5 |
食材提供: | 株式会社 山崎料理研究所 |
起床: | 6時 |
消灯: | 21時 |
以上
実施場所について
サマーキャンプの実施場所である別荘は、もともと松本市内にあった1880年創業「鷹の湯」旅館の離れを移築した建物です。数々の著名な方が泊まり、文化的な価値もある建物を ご好意でお借りしています。
2007サマーキャンプの主なスケジュール
6:00 |
12:00 |
18:00 |
21:00 | ||||
7月30日 | 到着 | 昼食 | 夕食 | ||||
7月31日 | 起床 ・朝食 |
輪読 ・自習 |
昼食 | 長野県農業大学校 見学 |
夕食 | 星空観察 | |
8月1日 | 起床 ・朝食 |
輪読 ・自習 |
昼食 | 夕食 | ナイトハイク | ||
8月2日 | 起床 ・朝食 |
輪読 ・自習 |
昼食 | 夕食 | |||
8月3日 | 起床 ・朝食 |
輪読 ・自習 |
昼食 | 尾白川渓谷探索 | 夕食 | ||
8月4日 | 起床 ・朝食 |
輪読 ・自習 |
昼食 | 片付け | 解散 ・帰宅 |
夕食 |
実施内容
今回のキャンプは6日間と日数が多く、また午後の活動を行わない日があったため時間をぜいたくに使うことができた。キャンプのメインの活動は自炊と自習である。毎日変わらず実施するこれらの活動で、日を追う毎に生徒達が変化、成長していく様を確認することが出来る。
食事
7月30日 | そうめん(S.S) | タコスライス(K.M) | |
7月31日 | 目玉焼き ベーコン トースト(K.M) |
カレーライス(F.A) | 豚肉の生姜焼き マッシュポテト ふかひれスープ(M.K) |
8月1日 | ツナマヨトースト ヨーグルトりんご和え(M.K) |
焼きそば(F.A) | 韓国チヂミ サラダ(K.K) |
8月2日 | ウィンナー トースト(K.K) |
そうめん とうもろこし(M.F) |
ハムチーズ餃子(S.K) |
8月3日 | 目玉焼き ウィンナー トースト(S.K) |
そば(M.F) | 豚もやし炒め そぼろご飯(T.M Y.H) |
8月4日 | スパム 納豆ご飯(T.M Y.H) |
スパゲティナポリタン(F.A M.F) |
( )内は担当チームおよびスタッフのイニシャル
キャンプ中の食事は全て自炊。夕食と翌日の朝食を1セットを1担当とした。昼食はスタッフが受け持った。担当者の役割は、献立の決定、買出しと調理の際のシェフで他メンバーはその指示に従った。
去年まではシェフが緊張している場面がよく見られたが、今年は少人数だったこともあり、和やかな雰囲気で食事の準備が行われていた。大人がほとんど手を貸さなかったので、食べるまでお楽しみ、のシェフこだわりの味が体験できたのはとても嬉しかった。
前半は、シェフが独りで台所に立ち周りが協力しない光景が見られた。食事の時間が予定より遅れがちだったが、遅れても大人が代わってくれるわけではない、ということが理解されると全員が徐々に動き出した。シェフが特に指示せずとも動く者、あるいは「何かやることある?」と聞く者がいると周囲もそれに動かされ全体が動き出す場面もあった。をした。というのも片付けのことも考慮しながら段取りよく料理することを学んで欲しかったからだ、が調理後の台所はやはり散らかったままであった。片付けるのも自分ならばどうあってもいい、ということなのだろうか。片付けは慣れてくるときれいに出来てはいたが。
勉強
毎日、午前中8時から12時までが勉強の時間。
キャンプ参加前にあらかじめ勉強の予定を立ててくるように伝えてあったが、きちんとやってきた生徒がほとんどいなかった。やりたいこと、やらなくてはいけないことは分かっているもののひとりで予定を立てることには慣れていないのと予定を立てるのが単に面倒、というのがその理由のようだ。初日はまずそれぞれが予定表を完成させることから始まった。
また今年は自習の他に新しい試みとして、自習に入る前に戸外での輪読を行った。輪読は全員が輪になって立ち、短い読み物を一人一行ずつで時計回りに順番に音読する、というもの。年齢に幅があるので音読の力にも当然差があるのだが、その中でも、あたかも一人の人物が音読しているよう同じペースで読み進めるよう指導した。初日はなかなか集中が出来なかったが日を追うごとに、読み物のレベルが高くなっていったにも関わらず確実にうまくなっていった。
自習は1コマ45分、休憩15分を数コマ行った。勉強と休憩の時間を全員一緒にしたのでメリハリがついた。年少者は12時前に勉強を切り上げ、昼食作りの手伝いを行った。
午後の活動
- 農場見学
- 31日午後、降り続いていた雨が上がり晴れたので八ヶ岳中央農業実践大学校 へ出向き、畜産、農作物、野菜園芸、農畜産物の加工等を行っている農場の見学をした。あらかじめ予定していた見学ではなく、しかも南信農業試験場へ向かうつもりが引率者の勘違いでやって来た場所。乳牛やハーブ畑をふらりふらりと散歩し、青々とした芝生の原っぱで「だるまさんがころんだ」をして運動不足を解消。勘違いした引率者のおごりで新鮮な牛乳とアイスクリームを美味しく食べた。直売所で新鮮な野菜を夕飯の食材として購入した。
- 星空観察・肝試し
- 1日の晩、例年と同じく富士見の丘の中腹にある牛の放牧地に行き、放牧地の周り約2KMを2人組で周った。月と星の明りだけを頼りに暗い林の中を約30分かけて歩く肝試しである。生徒全員がこの肝試しを非常に楽しんだらしい。待機していた我々には歩いている間に何が起こったのか分からないのだが、この活動の後は生徒同士の連帯感が増したようだった。怖い思いを共にした人とは親しくなるというのは事実のようだ。翌晩も、生徒達の強い要望があり2人組みのナイトハイクを実施した。この日から参加した2名もこの活動で場になじんだ様子だった。
- 渓谷探索
- 3日の午後、尾白川渓谷で片道約20分のコースを散策した。雨続きで運動不足を感じていたため、軽い運動がありがたかった。台風の後の増水で川遊びはできないだろうとふんでやって来たのだったが、水着で遊ぶ他の団を目にし、川遊びの準備をしてこなかったことを後悔。来年川遊びをするとしたら場所はこの場所になりそうだ。
全体を通して
前二回のキャンプは活動予定が盛りだくさんで時間に追われてしまった感があった。楽しいイベントは短時間に参加者の連帯感を育め、思い出に残る。だが活動の時間を増やすと「生徒が自ら動く」ための時間的余裕が失われてしまうことがある。この反省と、天気に恵まれなかったこともあり今回のキャンプは活動の時間を多くもうけなかった。スケジュールに追われず時間がたっぷりあるということは、思う存分試行錯誤が出来る、ということである。「自分でやってみる、やった結果を見る、結果を次にいかす。」この繰り返しが、「自分で考え行動する」訓練である。「皆で動かないと、物事が進まない」という経験から、「じゃあ動こう」と生徒が自ら思う瞬間が多々あったようだ。大人が手を差し伸べず待つ時間、見守る時間、これは教育、子育てにおいてとても重要で贅沢な時間だと思う。(スタッフF.Aコメント )
今回の参加者の内訳は初参加3名、2回目以上3名であった。昨年・一昨年と比較すると、だいぶ生徒たちの手で物事が進むようになった。食事の支度にせよ、勉強にせよ。これは、経験者の割合と、極端な年少者がいなくなったこと、などが要因であろうが、「自活・自習」という目標に一歩近づいた感じであった。また、目前にはっきりした目標があるときには、こちらから何も言わなくとも、自ら動き、協力し合うという姿を見る事ができた。それに対し、目前に目標がない場合、「関係ない。」とか「どうでもいい。」などという雰囲気が生まれてしまったのは残念であった。参加した生徒それぞれにとって、大変だったこと、楽しかったこと、そして成し遂げられたこと、は異なると思う。しかし、それぞれがそれぞれの段階で、苦労し何かを得たキャンプになったのではないかと思う。ここ数年、場所をご提供いただいている鈴木様、食材を提供いただいている山崎料理研究所様にはこの場を借りてお礼を申し上げる。(スタッフS.Sコメント)
今回初めてサマーキャンプに参加した。キャンプ参加当初、生徒たちが動かない場合は、自分で行動してしまおうという意識が働き、生徒が動きだすまで「待つ」という行為にとまどった。最初の頃、周りの生徒が動いていてもお客様のように何もせずに食事が出てくるとただ座っていた生徒が終盤になるにつれて、自分で率先して行動できるように…。短期間ですくすくと成長する姿を目の当たりにして、生徒の「自活」という面においては、大人がすぐに手を差し伸べること=助けにはならず、子供に考えさせる時間を持たせることが必要だと実感した。しいて言えば7日間という長さが生じて、中だるみを感じてしまったのか外に出るのに消極的な生徒と外で遊びたいという生徒の温度差に加えて、日々、天候が悪く、なかなかイベントらしいことを実施できなかったのが非常に残念である。今後は期間設定や日々のイベントなどをある程度、前もって準備するべきだと強く感じた。(スタッフM.Fコメント)